核兵器禁止条約の初めての締約国会議が、さきほどからオーストリアのウィーンで始まりました。会場近くには、小林康秀キャスターがいます。
小林康秀キャスター
「広島の高校生もウィーンに渡りました。世界中の人たちと交流を深めようとする彼女の行動には、被爆者とのある “約束” がありました」
広島の高校3年・大内由紀子さん(18)です。長崎の高校生・神浦はるさんとともにウィーンに渡りました。
核廃絶を世界で訴える高校生平和大使として活動する2人は、締約国会議に合わせて開かれたさまざまな会合に参加しました。
世界中から集まった人たちへ声をかけていきます。積極的に交流をする理由には、出発前に広島の被爆者との “約束” がありました。
国内外で被爆証言を続ける田中稔子さんです。大内さんは、ウィーンに行く前に今の被爆者の思いを聞こうと田中さんのもとを訪ねました。
6歳のときに広島で被爆 田中稔子さん(83)
「ちょっと聞いたんですけど、オーストリアに高校生平和大使として行かれる?」
広島・福山市 高校3年 大内由紀子さん(18)
「そうなんです」
田中稔子さん
「若い人ががんばるのが一番大事なんでね」
田中さんは6歳のときに被爆しました。70歳のときに被爆証言を始め、これまでに90か国以上で証言をしてきました。ウィーンへ向かう大内さんに田中さんは、こんな言葉をかけていました。
田中稔子さん
「ほかの国に親しい友人をたくさん作ってください。心から親しめる人をね。親しい友人がいる国に何か問題が起こったとき、爆弾を彼らの上に落とす気にはなれないですよね」
海外に友人を作ることが平和につながる。海外での証言活動が豊富な田中さんだからこその言葉でした。
大内さんと神浦さんは、気軽に話しかけてもらおうと手書きのメッセージボードも用意しました。
高校3年 大内由紀子さん(18)
「(田中さんの言葉を)とっても本当に大事にしていて。友だちを作りたいとか、仲良くなりたいという気持ちが大きいので、そういうものが、自分の行動につながっていると思います」
たくさんの人から声をかけられる大内さんたちは、海外のメディアからも取材受けたといいます。
「乗れましたー」
この日、大内さんはウィーン市内を自転車で駆け巡りながら核兵器廃絶を訴えるイベントに参加しました。日本のデモとは違うやり方に大きな刺激を受けたといいます。
20日には、オーストリア政府が主催する国際会議も参加しました。国連の中満泉事務次長にも積極的に声をかけました。
この数日間で出会った人たちとも会話がはずみます。
大内由紀子さん(18)
― 親しい友だちは、たくさんできましたか?
「イギリス、カナダ、フランス、アメリカ、いろんな国籍の方と友達になれて、すごく、ずっとこのまま楽しく話し合える時間が過ごせたらいいなと思って。あらためて平和を願う時間・期間になりました」