若者の投票率UPにクーポン配るのはどう? 勝山高校の生徒が探る可能性

若者の投票率向上のアイデアを練った森下倫瑠さん(左)、岩岡凌佑さん=福井県立勝山高校

 「自分ごと」に感じる社会課題の解決策を“政策”にまとめる探究学習に取り組んだ福井県立勝山高校の1年生は、若者の投票率向上にも注目。森下倫瑠さん、岩岡凌佑さんは、投票率が低い状況は自分たちの将来を左右する問題だと気付き、投票に行った若者にお得なクーポンを配るアイデアを考えた。高校生による小中学生向けの主権者教育も提案した。

自分が投票に行きたくなるには

 森下 今回の授業がなかったら、多分将来、選挙に行かなかった。私一人が投票しても社会は変わらないと諦めに近い感じ。けど、同じように考える人が多くなると「日本の課題」になっちゃうと気付いた。じゃあ、自分が投票に行きたくなるにはどうしたらいいか考えた。

 今は投票してもすぐに自分にリターンはない。それなら、すぐ使えるクーポンがもらえたら私はうれしい。地元のお店で使えたら地域も元気になるし。

 岩岡 お金に余裕がない大学生にも有効。若者の意見が聞けるって、国にとってもいいこと。

 議員さんって、やはり投票率が高い高齢者向けの政策を優先すると思う。けど、社会で頑張ってるのは20~30代。その世代に対する政策が後手に回ってないのかな。若者の投票率が低いと、自分たちが大人になったとき、今より生きづらい社会になる。

 森下 社会に適合できなくて引きこもりやうつ病になったとき、助けてくれる法律があったら、ありがたい。年配者の中には「甘えるな」という意見もあるだろうけど、若い世代の声で法律は変えていけばいいと思う。

 今、公共の授業で選挙や政治を勉強してるけど、高校生が小中学校に出張授業して学んだ内容をかみ砕いて伝えるようにすれば、私たち自身がより深く理解できるようになりそう。

 岩岡 今の18歳、19歳の投票率向上も大事だけど、僕たちを含めたこれから大人になる人たちにも知ってもらうことで、若者も投票することが当たり前になると思う。

「18歳成人」で意識高まるか

 投票した若者に市区町村の選管がクーポンを配るアイデアについて、福井県選管は「特定の年代だけにメリットがあるやり方は平等性の観点から厳しいのでは」との見方を示す。

 自治体によって、選管が「投票済み証明書」を発行している場合がある。全国的には飲食店などの民間事業者が、証明書や投票所の写真を提示した人に割引などサービスを提供する取り組みも始まっている。

 ただ、特定の候補を応援する企業や団体が、従業員らの投票の確認に証明書提示を求めるなど、不適切な利用に対する懸念もあるとして、県選管は証明書発行は「慎重な取り扱いが必要」との立場。発行の判断は選管ごとの判断に委ねられており、福井新聞の取材ではあわら市、勝山市、永平寺町、池田町、越前町、高浜町が希望者に各投票所で発行している。

 前回参院選の2019年福井選挙区の投票率は47.64%で、戦後県内で行われた国政選挙で最低だった。18、19歳の投票率27.24%(抽出調査)も、16年6月に選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて以降で最も低くなった。

 22年4月からは、成人年齢も18歳に引き下げられた。今回の参院選は、18歳の“大人の意識”が投票行動に反映されるのかどうかも注目される。

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