並行在来線、災害対策強化を JR九州株主総会 肥前山口-諫早 路線維持求め意見

 JR九州は23日、福岡市内で株主総会を開催。9月の九州新幹線長崎ルート部分開業に伴い上下分離方式の並行在来線となる長崎線の肥前山口-諫早について、株主からは路線維持の観点で災害対策強化を求める声が上がった。
 同区間は60.8キロ。部分開業後23年間、同社が列車運行を担い、長崎、佐賀両県が昨年4月に設立した一般社団法人佐賀・長崎鉄道管理センター(鹿島市)が鉄道施設を保有・維持管理する(一部除く)。
 質疑で男性株主は、2003年に諫早市で長崎線の特急列車が落石で脱線横転した事故を引き合いに「上下分離後はどこが復旧を担うのか。災害を機に(廃線で)レールが外されないか心配。大雨に強い鉄道を」と要望。これに対し古宮洋二社長と担当役員は、昨夏の大雨で浸水した佐世保線の電気設備を2メートルかさ上げした事例を紹介。上下分離区間の災害対応については同センターと協議中で、施設譲渡までに整備強化すると説明した。
 同日報告した中期経営計画(22~24年度)には、西九州エリア(長崎、佐賀両県)と福岡エリアのまちづくりに注力すると明記。このうち西九州では、西九州新幹線(武雄温泉-長崎)を起爆剤とし、新観光列車「ふたつ星4047」運行、多様な交通手段を組み合わせるMaaS(マース)関連サービス導入、「長崎マリオットホテル」を含む新長崎駅ビル開発など、自治体や他企業などと地域一体で活性化に取り組むとしている。


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