【参院選2022】神奈川選挙区は異例の改選数4+1?特殊な事情を選挙の仕組みから解説!

参議院選挙が2022年6月22日に公示され、7月10日に投開票を迎えます。

神奈川選挙区は本来改選数4のところ、今回に限って5つの議席を争うことになり非常に激しい戦いが予想されています。

なぜ神奈川選挙区は議席が増えているのか、その背景を解説します!

神奈川選挙区は改選数4+1!?

参議院の定数は248です。参院選では3年ごとに半数の124議席が改選されます。

ただし、今回の参院選では124議席にカウントされないもう1つの議席があります。
それが神奈川選挙区の定数「4+1」の「+1」にあたる議席です。

今回の参院選で神奈川選挙区の改選議席が1つ増えているのはどのような事情によるものなのでしょうか。

※詳しい参院選の仕組みについては、こちらの記事をご覧ください。
【関連】参院選2022のしくみ 選挙区と比例代表、特定枠とは?わかりやすく解説!

神奈川選挙区の改選数が「4+1」な背景と理由

結論から言うと、神奈川選挙区で改選数が「4+1」と1枠増えているのは、2021年に発生した参議院議員の欠員を補充するためです。

2019年の参院選で神奈川選挙区から当選した松沢成文氏は、2021年に横浜市長選挙立候補のために参議院議員を辞職しました。
松沢氏が辞職していなければ、任期は2025年まで。このままでは、神奈川選挙区選出の参議院議員の議席が2025年まで1つ空席になってしまいます。
そのため、今回の参院選に合わせて欠員補充の選挙を行うことになり、神奈川選挙区の本来の改選数に1議席プラスした「4+1」を争う選挙になっているのです。

「補欠選挙は行われなかったの?」と思われる方もいるかもしれません。
欠員発生後に補欠選挙が行われなかったのには、理由があります。

補欠選挙とは?神奈川選挙区で補欠選挙が実施されなかった理由

補欠選挙とは、死亡や辞職などの理由によって国会議員、または地方議員に欠員が生じたときに行われるイレギュラーな選挙です。
実施要件については公職選挙法113条に規定があり、参議院選挙区選出の議員については改選数の4分の1の欠員が発生すると補欠選挙が実施されます

神奈川選挙区の改選数は4。
1名の辞職では欠員が4分の1を超えないため、松沢氏の辞職後も補欠選挙は行われずにいたのです。

とはいえ、2025年の改選期まで議席が空席なのは議会としてふさわしい状況とは言えません。
そのため、今回の参院選に合わせて欠員補充が行われることになりました。

これを合併選挙と言います。

参議院の選挙区において改選数が4以上ある選挙区は、神奈川選挙区のほかに、東京・埼玉・愛知・大阪があります。
これらの選挙区では今回のような合併選挙が行われることがあります。
しかし非常にレアケースであり、合併選挙は埼玉選挙区で行われて以来30年ぶりとのことです。

5位当選は任期3年!「5位は避けたい」政党の事情

通常、選挙区選挙の当選者の中で順位によって任期に差はありませんが、今回のようなケースの場合は異なります。

今回の神奈川選挙区の場合、1~4位までの当選者は任期が通常の6年。5位で当選すると欠員補充としての当選となり、その場合任期は松沢氏が務めていたかもしれなかった2025年までとなります。

短い任期で選挙が続くのは政党にとっても候補者にとっても負担であり、できれば避けたいところ。
さらに、2025年に改選の現職がいる政党にとっては、今回の選挙で自党の候補者が5位当選すると、改選時に現職と党内で競合することになってしまいます。

そのため、任期の短い5位当選の1つ上の4位当選を狙って各党精力的に活動を行うことが考えられます。

まとめ:参院選2022は熾烈な争いになる神奈川選挙区に注目!

2022年の参院選において、神奈川選挙区は欠員の発生と補欠選挙の実施要件という2つの条件が揃ったため、めったにない定数「4+1」の選挙区となりました。

当選枠が広がったこともあり過去最多の22名の立候補となった神奈川選挙区。盛り上がりを見せている選挙区の1つです。

当落とともに各党がどのような順位で当選するのかも注目です。

神奈川選挙区の候補者情報はこちらをご覧ください!
>>参院選2022 神奈川選挙区について詳しく知る

(執筆協力:夏森アキラ

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