「AV新法」巡り 被害者への包括的支援を 出演被害者支援者団体が声明

 国会で今月成立したAV(アダルトビデオ)出演被害防止・救済法(AV新法)をめぐり、制作での性交を合法化するとして法案に反対していた出演被害者支援者らによる「AV業界に有利なAV新法に反対する緊急アクション」が24日、声明を発表し、根本的な被害防止策や、被害者らへの包括的な支援の仕組みをあらためて求めた。

 声明は、新法の骨子案に対して「『出演者の自由な意思決定』による性交などを伴う撮影契約を合法化する」と憂慮し、反対意見を表明したことで多数の修正がなされ、「表明の意義は小さくなかった」と振り返った。

 ただ、新法には金銭取引を伴う性行為の合法化に道を開くことへの疑念が残るとし、金銭を対価にした性行為を禁ずる規定が「盛り込まれるべきだった」と指摘。撮影での性行為を違法としなければ「根本的な被害防止になり得ない」とし「性行為や人格の尊厳を傷つける行為を撮影、商品化され、消費され続けること自体が被害と踏まえた法律が必要」と訴えた。

 その上であらためて、AVや性搾取の現場での根本的な被害防止策や被害者の包括的支援の仕組みを求め、「性売買業者や買春を許容しない社会を実現するために世論喚起と法律改正や新たな立法を求め続ける」とした。

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