児童手当を受け取れなくなる世帯も。6月から変わった児童手当の変更点

0歳から中学校卒業までの児童を養育している方に支給される児童手当ですが、2022年6月に児童手当の新制度が始まり、一部変更となりました。所得金額によっては児童手当が受け取れないひともいるので、注意が必要です。その変更点について、詳しくお伝えします。


児童手当制度のおさらい

児童1人当たりに対し、3歳未満は月1万5000円、3歳以上から小学校終了前までは月1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生は月1万円が支給されます。

ただし給付には、所得制限があります。その所得制限を超えた世帯は、児童1人当たりに対し、月額5000円の特例給付があります。この特例給付にも所得制限がかかったのが、今回の変更です。

給付の変更:10月支給分から特例給付5000円に所得制限

6月1日施行の児童手当法の一部改正に伴い、10月支給分(6~9月分)から、所得が基準額以上の世帯は子ども1人につき月額一律5000円の特例給付を受けられなくなります。

まとめると下記の表となります。

所得制限を確認しましょう

所得制限は、扶養親族人数に応じて決められています。この所得は世帯合算せず、夫婦共働きの場合は、いずれか所得の高い方が基準となります。

以下の表のA未満の場合、「所得制限上限額未満」に該当し、児童手当が給付されます。

A以上B未満の世帯は、「所得制限限度額以上 所得制限上限額未満」に該当し、5000円の特例給付があります。

Bの限度額を超える場合、10月から支給がなくなります。

年収1200万円以上あると、児童手当の支給がストップすると耳にすると思いますが、4人家族(父・母・子ども2人)で、父・母どちらかの年収が1200万円、もう一方は専業主婦(夫)というケースを想定していると考えられます。この場合、上記の表、扶養家族3人(子ども2人+配偶者)でBの年収目安1200万円の部分を指しています。Bの人は特例給付がなくなりますから「児童手当がストップする」ということになります。

手続上の変更:現況届が廃止されます

毎年6月1日の状況を把握し、児童手当を引き続き受給する資格があるかどうか審査があります。養育する児童がいるか、所得制限区分に変更がないか、生計同一かなどを確認するため、毎年6月1日から6月30日までの間に現況届を市区町村へ提出する必要がありました。その現況届が今年から廃止されます。

ただし、各市区町村の判断により、引き続き現況届の提出を求められることもあります。また以下の場合は、提出が必要です。

(1)住民基本台帳上で住所を把握できない、法人である未成年後見人
(2)離婚協議中で配偶者と別居されている方
(3)配偶者からの暴力等により、住民票の住所地と異なる市区町村で受給している方
(4)支給要件児童の戸籍がない方
(5)施設等受給者
(6)その他、市区町村から提出の案内があった方

少子化対策への逆行した政策では?

今回の給付制限は、少子化対策への声が上がる中、所得制限を設けることに疑問を感じる人もいると思います。この児童手当が見直された背景には、老齢年金・医療・福祉などの社会保障費の急激な増加により、使い道をより精査していく必要性があると考えられたためです。

たとえば、厚生労働省の児童手当の使途等に係る調査報告書にある世帯年収階級別の「使途を子どものために限定利用できない理由」をみると、「使い道は自由だと考えるため」という回答が世帯年収が高くなるほど、多くなる傾向が見られます。

そのため今回、所得制限を設けたことにより、その分の財源を他へ回していくことができると考えられています。

まとめ

児童手当の6月の変更点について説明いたしました。受け取れなくなる世帯が出てきますので、よく確認したほうがよいでしょう。

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