佐世保空襲77年 非戦と継承を死没者に誓う 市民文化ホールで追悼式

献花し犠牲者を追悼する参列者=佐世保市、市民文化ホール

 多くの市民が犠牲となった佐世保空襲の死没者追悼式が29日、長崎県佐世保市平瀬町の市民文化ホールで開かれ、関係者らが犠牲者の冥福を祈るとともに非戦への誓いを新たにした。
 佐世保空襲は1945年6月28日深夜から29日未明にかけて起きた。141機の米軍爆撃機B29が佐世保市街地に焼夷(しょうい)弾を投下。市民約1200人が亡くなり、全戸数の約35%にあたる約1万2千戸が全焼した。
 市が主催した追悼式は新型コロナウイルス感染防止のため、今年も規模を縮小して開催した。参列者は午前10時のサイレンに合わせ黙とうした。朝長則男市長は犠牲者への哀悼の念を示し「戦争の記憶を継承し、再び悲しみの歴史を繰り返さぬよう努力を重ねる」と誓った。
 佐世保空襲犠牲者遺族会の臼井寛会長は、ロシアによるウクライナ侵攻に触れ「ウクライナ市民の被害には同情を禁じ得ない」と述べた。その上で「悲惨な戦争の事実を若い世代に正しく伝えること。それがわれわれの使命であり、責任だと信じている」と訴えた。
 夫が空襲で母や祖母らを亡くした岩村球枝さん(90)は、報道陣に対し「相手の立場を考え、身の回りの人と仲良くすること。それが平和のためには大切だと思います」と語った。


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