奈良の大手菓子卸として知られた(株)USTが破産開始

※画像は実際の企業と関係はありません

 (株)UST(旧商号:(株)植嶋、TSR企業コード:620001003、法人番号:3150001006912、生駒郡斑鳩町龍田2-2-11、設立1954(昭和29)年5月、資本金5000万円、植嶋修治社長)と関連のファーレ企画(株)(旧商号:(株)奈良祥樂、TSR企業コード:622076132、法人番号:9150002006162、同所、設立1999(平成11)年4月、資本金300万円、同社長)は6月8日、奈良地裁へ破産を申請し6月21日、破産開始決定を受けた。破産管財人には髙橋和宏弁護士(奈良西大寺法律事務所、奈良市西大寺南町1-17、電話0742-52-9000)が選任された。
 負債は、USTが債権者9名に対して約29億円、ファーレ企画が債権者8名に対して約11億円で、2社合計約40億円。

 菓子類の卸売を目的に1927年10月に創業。法人化後は(株)植嶋として近畿エリアに販路を拡大し、ピーク時の2007年5月期には売上高約131億800万円を計上していた。しかし、以降は競合激化や得意先の倒産などで売上が減少していたうえ、不良債権処理や固定資産などもあってたびたび赤字を計上。2015年5月期の売上高は64億5950万円まで減少し、6億1915万円の債務超過となっていた。
 こうしたなか2015年12月、加藤産業(株)(TSR企業コード:660008149、法人番号:6140001068331、兵庫県西宮市、東証プライム)の出資を受け設立した新会社(株)植嶋(TSR企業コード:016119584、法人番号:8140001099812、和歌山県岩出市)へ菓子卸売事業を譲渡。当社は現商号に変更し、新会社向けの不動産賃貸業に業態を転換した。
 2021年4月には、新:植嶋の本社移転に伴い賃貸収入が減少したことから、本社不動産を売却。債務整理に取り組んでいたが、一部債権者と話し合いが付かず、今回の措置となった。

 ファーレ企画は奈良・大阪で菓子小売店を経営していた。「らほつ饅頭」などのオリジナル商品を展開し、2012年3月期には売上高約12億円を計上していた。しかし、一時的に手掛けたスーパーの菓子売場の不振から業績が悪化。
 その後も業況の低迷が続いたことから2020年7月、新会社の(株)奈良祥樂(TSR企業コード:136208819、法人番号:1150001023942、奈良県斑鳩町)に事業を譲渡。以降は実質的に休業状態となっていた。

 なお、それぞれ事業譲渡先である植嶋および奈良祥樂において営業を継続している。

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