法人化にはどのくらいお金が必要? サラリーマンが会社設立するメリットはある?

「そろそろ法人化するべきか」。法人化を検討するときに、法人化するために必要なコストや、設立後に発生する費用面は気になるポイントでしょう。そんな法人化に掛かるお金について解説していきます。


法人設立に掛かるコストはどのようなものがある?

法人の種類によって異なりますが、法人設立時に掛かるコストは5つあります。設立には大きなコストが掛かると思われがちですが、実はそれほどまとまったお金が必要なわけではありません。

1.登録免許税
法人を設立する際には法務局に法人を設立するための登記が必要です。その際にかかるのが登録免許税です。金額は、株式会社か合同会社か、法人の種類によって異なります。合同会社の場合は6万円、株式会社の場合は資本金の額に1000分の7をかけて算出します。ただ、算出された額が15万円に満たない場合には15万円となります。

2.定款認証の手数料
定款とは、法人の事業内容、資本金、所在地、代表者名など、法人の情報が記載された資料のことです。株式会社の場合は定款の認証を受ける必要があり、定款認証手数料として5万円かかります。定款認証の際には、登記申請用の定款謄本も必要になり、謄本の交付手数料がプラスで2000円程度になります。合同会社の場合、定款の作成は必要ですが、認証を得る必要がありませんので認証の手数料は不要です。

3.収入印紙代
紙の定款を作成する場合には4万円分の収入印紙が必要となります。電子定款の場合には不要です。

4.司法書士への手数料
法人設立の手続きを司法書士に依頼する場合、手数料は、5万円~10万円程度が相場です。自分で申請すれば手数料は不要です。

5.資本金
法人を設立する際には資本金が必要です。資本金は1円からでも設立ができるため、対外的な信用などの面を特段気にせずに、個人事業の延長で節税や社会保険のメリットを享受したい場合には1円でスタートしても良いでしょう。取引先などから対外的な信用を得たい場合には、200万円程度の資本金は最低でも用意しておくべきともいえます。

株式会社を設立する場合は25~30万円程度、合同会社は10~ 15万円程度かかると見ておいたほうがよいでしょう。

法人設立後に掛かるランニングコストはどのようなものがある?

法人を設立後、個人事業の時と比べて高くなる費用があります。

・税理士報酬
法人の確定申告は、個人事業よりも複雑です。個人事業の申告は自分でやっていたひとでも法人の申告は難易度が高いです。そのため、税理士に依頼したり、会計ソフトの申請サポートを受けたりするためのコストがかかってきます。個人事業主で元々税理士に依頼していた方も、法人の確定申告になると料金が上がることもあります。

・各種サービスの料金
会計ソフトの利用料金や他に利用しているサービス料金が法人プランだと上がることもあります。

・社会保険料
役員報酬、従業員の有無や雇用形態により、社会保険料の加入義務が発生し社会保険料が上がることもあります。法人化前には事前にどの程度上がるかを計算しておきましょう。

サラリーマンが副業で法人を設立するメリット

会社員が副業で法人を設立するメリットはあるか、気になる方も多いでしょう。

個人事業主にとって、法人を設立することで節税、そして社会保障の拡充になります。さらに、社会保険料の節約を同時にできるメリットもあります。そのため、自分で事業を行っていくのならば、まだ利益が少ない早い段階で設立を検討しても良いでしょう。

対して、サラリーマンの場合は、自身が設立した法人と勤務先との両方で厚生年金、健康保険に加入することになるため、公的年金の受給額や保障が手厚くなります。

ただ、社会保険料の計算など勤務先との兼ね合いで手続きが面倒になることや、支払う社会保険料に対しての公的保障の増額分を考えると、メリットはほとんどないと考えてよいでしょう。

節税に関しても、副業での利益が大きくない場合にはあまりメリットはありません。


法人化の検討はお早めに

ここまで、法人化に掛かる費用について解説してきました。

資本金としてまとまったお金が必要な場合もありますが、資本金は後から変更することもできますので、必ずしも全額を設立時に用意する必要はありません。

法人を設立することで場合によっては社会保険料の節約も可能ですので、早い段階で検討してみるのも良いでしょう。

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