福井市から1時間半で登山口、2000メートル級の峰々が広がる白山…「いつかは」でなく今夏に登ってほしい【ふくいのそと遊び】

御前峰山頂から見下ろす室堂。福井市から登山口まで1時間半。県民にとってはとっても身近な山です。
濡れると花びらが透明になるサンカヨウ

山歩きには日本一めぐまれている福井県。今回は白山をご紹介&おすすめしたいと思います。

折しもこのコラム公開日(2022年7月1日)は白山の夏山開きの日です。白山は、富士山・立山とともに日本三霊山の山。北陸新幹線の開通以降、全国的な人気・知名度ともいよいよ高まるばかりです。そんな白山の登山口=別当出合まで、福井市中心部から車でおよそ1時間半。福井県民にとってはたいへん身近な高峰です。

ところで白山には「白山」という名前の山はない、ということをご存知でしょうか。「白山」は石川、福井、岐阜、富山の4県にまたがって2,000m級の山々が広がる雄大な白山連峰であり、その49,900haが国定公園「白山国立公園」です。いわゆる「白山山頂」は、御前峰・大汝峰・剣ヶ峰で構成されています。白山奥宮があり、よくテレビや新聞紙面に登場するのは御前峰です。その御前峰の標高は2,702m。文殊山(365m)や日野山(794m)にくらべると圧倒的な高さです。ですが前回のコラムでもお話ししたとおり登山は標高だけ計ることはできません。

もっともメジャーな登山ルートである砂防新道でみてみましょう。登山口である別当出合は標高1,260m、御前峰との標高差は1,442mです。さすがにしっかり歩くな・・・と思われるかもしれません。ですが、大野市の荒島岳(1,524m)の中出コースは標高差1,304mですからそれほど遜色ありません。「荒島岳なんて未挑戦の山だもの・・・」とお思いの方もあるかもしれはません。では越前市の鬼ヶ岳(533m)はどうでしょう。カントリーエレベーターのある正面登山口から山頂まで標高差435m。そう、鬼ヶ岳の上り3回分で御前峰を超えているんです。

これからの暑い季節は飲み水をしっかり持ち上げなくてはいけないのが大原則ですが、砂防新道ではスタート地点の別当出合、途中の中飯場、甚之助避難小屋、室堂と飲用水を汲むことができるので、その点でも気が楽です(トイレもとっても綺麗です!)。

さて、先だって6月23日(木)に白山の御池めぐりをしてきましたので、その時の様子を紹介したいと思いますが、持ち物についてご質問を受けることが多いので、まずその紹介から。

■持ちもの その1~山にもって上がったもの] ①靴袋(靴、靴下、帽子、手袋) ②ロールペーパー(ゴミ袋、ウェットティッシュ) ③折りたたみランチボックス(あんドーナツ、焼きそばドッグ) ④飲み物セット(マグカップ、スティックコーヒー、ココア、スプーン) ⑤ストック ⑥お昼ごはん(mont-bellリゾッタ。保温できるフードコジーに入れています) ⑦午後の紅茶レモンティー ⑧100円ショップのケースに入れたヘッドランプ ⑨サコッシュ(地図、登山計画書、おさいふ) ⑩サングラス(雪渓歩きには必須!) ⑪ジップロックに入れた行動食(柿ピー、ミックスナッツ、ミレーフライ) ⑫コンパスとビクトリノックス(ビクトリノックスとはナイフや工具などがまとまったマルチツール。コンパスと紐でつないでいます) ⑬日焼け止め、虫刺されの薬、リップクリーム、目薬 ⑭グラナイトギア エアセルブロック保冷バッグ(ミニトマト、凍らせたこんにゃくゼリー) ⑮山専ボトル900ml(当日朝に沸かしたお湯) ⑯化繊ダウンジャケット(finetrackポリゴン2UL)、キルト巻きスカート(mont-bell) ⑰おやつ!! ⑱軽アイゼン(mountain dax6本爪アイゼン) ⑲ツエルト(oxtosタフ ツェルトポンチョ) ⑳レインジャケット(finetrackエバーブレスフォトン) ㉑レインパンツ(finetrackエバーブレスフォトン) ㉒ザック(mountain dax SHIFTY32。なかにSOURSEハイドレーションを入れています。) ㉓スマホ(当日の朝ギリギリまで充電中・・・) ※⑧~⑬をザックの雨蓋(トップリッドとも言いますね)に入れています。

■持ちもの その2~車に積んでおいたもの  ①下山後用バッグ(たっぷり入って軽いキャリーオール。荷物が増えてもジッパーを閉じれば安心なのもポイント。ずっと愛用していてかなりくたびれています。なにかいいのないかなー、です。) ②モバイルバッテリー ③山専ボトル750ml ④シャンプーなどお風呂グッズ ⑤朝ごはん(登山口までの移動中にたべる) ⑥100円ショップで購入した小さめのピクニックシート(下山後に車のシートに敷きます) ⑦タオル ⑧紙コップ、インスタントコーヒー、おやつ!(下山してすぐ食べたい!今回はマネケンのワッフル(^^)) ⑨mont-bellトラベルキットパックM(化粧水、クリーム、くし、ヘアゴム) ⑩oxtos UL GEAR BOX L(入浴後の着替え一式。L型ファスナーで出し入れしやすく、30dコーデュラナイロン生地なので汗だくのウェアを入れても安心)

では肝心の山へ

当日は梅雨の中休み。晴れれば暑いし、雲の下では寒い。着るものは夏山仕様、休憩時の飲み物は冷たいものと温かいものの両備えで行くことにしました。駐車場に着くと平日の6時過ぎですがたくさんの車。上の駐車場は一杯、下の駐車場は20台ほどが停まっていました。別当出合登山センターで登山届を提出。

砂防新道を歩きはじめてまもなくウバユリやサンヨウ。この辺りのサンカヨウはすでに実を結んでいましたが、中飯場をすぎると開花真っ盛り。雨後の朝なので花びらが透き通っています。

甚之助避難小屋を過ぎると雪が多くなります。 十二曲がりは雪がなく、夏道がすべて出ています。 弥陀ヶ原の木道上にはとことどころ雪が残っていましたが、もう消えたことでしょう。

室堂手前の登山道わきのクロユリ。 花ひらくのはもう少し先…

室堂で少しまとまった休憩をとって、御池めぐりに向かいます。 軽アイゼンも装着。

本日のお目当て、翠ヶ池。 ドラゴンアイというより、クリオネ?(写真左からE美チャン、Y子サン、服部)

室堂にもどって、ゆっくり休憩。女性3人だと、どこでもたちまちお茶会です。じっと座っていても寒くなく、でも温かい飲み物がおいしい気温。お昼寝したい気持ちを押しとどめて下山。

登山を始めた方のなかには「いつかは白山に」とお思いの方も多いのではないでしょうか。ぜひ「いつか」ではなく「この夏に」向かっていただきたいと思います。

折しも夏山開きをむかえた白山。一般登山道に雪はもう消えていますし、山荘も営業がはじまります。山頂を目指さなくても、弥陀ヶ原を眺めるだけでも心が洗われること間違いなしです。

「無事に帰ってこそ登山」。 どうぞくれぐれも安全に、水分と塩分はしっかり補給して、今夏も山にたのしませてもらいましょう。

(登山用品店「遊山行」=福井市田原1丁目8-2 服部佐和子)

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