「頑張れよ」恥ずかしいから歌にした 異色のシンガーは壬生高の元校長

自宅のスタジオで熱唱するコミネさん

 3月に栃木県の壬生高校長を退職した異色のシンガー・ソングライター、コミネシゲオ(小峰重雄(こみねしげお))さん(60)の歌が話題となっている。教員時代に教え子たちに贈った応援歌で、動画投稿サイト「ユーチューブ」などで配信されている。「全ての歌は生徒たちへのエール」と、教壇を降りた今も教師のまなざしで若者たちに寄り添っている。

 コミネさんが教師になったのは1984年。国分寺養護学校を振り出しに、各校で生徒指導などを長く担当した。小山南高ではいじめ問題をテーマにした「臆病生活のススメ」を執筆し、県内外で出前授業を行った。

 生徒たちに弾き語りの歌を贈り始めたのは、宇都宮白楊高に赴任した2012年。自作の歌4曲入りのCDも出し、評判となった。

 鹿沼商工高定時制では、昼間働き夜学ぶ生徒たちを温かい調べで励ます曲「Night」を作った。友人を通してギタリストのコウダタカシさんと出会ったこともあり、音楽活動が本格化した。

 「ガサツでヤンチャな こんな僕も 君と出逢って~10年後の君 光放ち 人生 いつも Optimist(楽観主義者)」。代表作となった「人生Optimist」もこの頃の曲だ。

 これまでに発表したCDは4枚。一人一人にギターで語りかけるようなフォーク調の曲には、教え子たちとの思い出がつづられている。「やんちゃな生徒ほど、心はとても温かい。『頑張れよ』って言うのは気恥ずかしいので音楽で伝えた」と笑顔を見せる。

© 株式会社下野新聞社