「平和宣言」核禁会議の意義盛り込む 長崎市修正案、委員ら賛同

平和宣言の内容について意見を交わす起草委員ら=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 長崎市は9日、長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で田上富久市長が読む平和宣言文の起草委員会最終会合を開き、オーストリアで先月開催された核兵器禁止条約第1回締約国会議の意義などを盛り込んだ修正案を示した。委員はおおむね賛同。条約で重視される世界の「核被害者支援」に言及するよう求める意見も上がった。
 平和宣言はかねて、暴力ではなく信頼や話し合いによって解決を目指す「平和の文化」の大切さを訴えてきた。委員長の田上市長は、8日に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件に触れ「他人の意見を尊重し解決する事例を増やし、広げていくことが大事だとあらためて思う」と述べた。
 締約国会議は核兵器廃絶の実現に向けた「ウィーン宣言」と「行動計画」を採択。被爆者で医師の朝長万左男委員は、同会議で医学的見地から核被害の影響をスピーチした経験を踏まえ「計画の多くが核被害者支援(に関する内容)だったので宣言文に入れてほしい」と語った。
 フリーアナウンサーで平和事業に取り組む前田真里委員は「核実験被害者など世界との連携が大事」と語り、広島や沖縄など国内にとどまらず「世界の全ての人々」とのつながりを強調するよう提案した。
 修正案には「微力だけど無力じゃない」の文言も新たに加えた。今年で活動開始25周年となる高校生平和大使が、核兵器廃絶運動で掲げる合言葉。田上市長は「世界中の人に共有してもらえる言葉で、広まっていけば」と理由を説明した。
 起草委は被爆者や有識者ら16人で構成。市は最終会合の意見を踏まえ、8月初旬までに内容を固める。

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