佐世保実がサヨナラ勝ち 最後はボークで決着 第104回全国高校野球長崎大会 第4日 

【1回戦、大村工-佐世保実】9回裏佐世保実無死満塁、寶亀が右翼線に走者一掃の三塁打を放ち同点に追い付く=諫早市、スポーツパークいさはや第1野球場

 2016年準Vの大村工と12、13年王者の佐世保実の一戦は、佐世保実が九回に試合をひっくり返してサヨナラ勝ち。集中打で3点差を追いつくと、直後にボークで決着がついた。思いがけない突然の幕切れ。熱気に包まれた球場は一瞬静まり、大村工の選手たちは泣き崩れた。それでも最後は、全選手の気力がぶつかり合った好ゲームにスタンドから惜しみない拍手が送られた。
 3-6で迎えた佐世保実の土壇場の攻撃。先頭の砂川がしぶとく左前へ落とすと、代打藤井は初球を迷わず右前へ運んだ。続く主将の内野がフルカウントから4球ファウルでつないだ後に直球を弾き返して無死満塁。「ワクワクして最高の緊張感だった」と言う寶亀が右翼線へうまく引っ張り、3人が一気に生還した。
 グラウンド外では寮長も務めるヒーローは「頭の中が真っ白になった」と三塁上で何度もガッツポーズ。就任3年目で初めて夏の勝利を挙げた刀根監督が「子どもたちの自主性の力」と振り返ったように、3点差で強攻しかできなかった中、積極性と粘り強さを発揮して逆境を乗り越えた。
 両校ともに無失策。懸命に打ち合い、守り合った。サヨナラのボークの瞬間を打席で迎えたのは船越。マウンド上の相手と同じ背番号1であるからこそ、ともに熱戦を演じたライバルに寄り添った。「悔しかったと思う。次は大村工の分の思いも背負って戦いたい」


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