岡山県内 水田野焼き面積20%増 21年度 PM2.5防止へ啓発

 健康への影響が懸念される微小粒子状物質「PM2.5」濃度上昇の一因といわれる稲わらの野焼きについて、岡山県は12日、県南部で行った2021年度調査の結果を公表した。野焼きされた水田の面積は20年度から20%増加しており、啓発の強化を含めて対策を充実させる方針だ。

 県が抑制への取り組みを始める前の19年度との比較では3割の減。21年度に増加へ転じた理由について、県環境管理課は「天候の影響で稲が長く伸び、焼かずに処理する『すき込み』を見送った農家があったようだ」と推察している。

 調査はPM2.5濃度が高い岡山、倉敷市と早島町に、近接の総社、瀬戸内市を加えて実施。衛星画像を解析して面積を算出した。対象エリアの水田1万8037ヘクタールのうち野焼き面積は1566ヘクタールで、20年度(1302ヘクタール)より20.3%増加。一方で19年度(2259ヘクタール)比では30.7%削減されていた。

 県は結果を踏まえ、稲わらの土作りへの活用推進といった野焼き抑制への取り組みを強化する考えで、今後具体策の検討を急ぐ。

 この日、岡山市内で開かれた「県稲わら等有効利用連携推進会議」で報告した。出席者からは物価高を踏まえ、稲わらを田んぼにすき込む際に散布する分解促進剤の購入費補助を引き上げるよう求める意見もあった。

稲わらが野焼きされた田んぼ=倉敷市内(県提供)

© 株式会社山陽新聞社