安保法制違憲訴訟 「子や孫が戦争に…不安」長崎の被爆者訴え 福岡高裁

 集団的自衛権行使を認めた安全保障法制は違憲で、平和に暮らす権利が侵害されたなどとして長崎県内の被爆者らが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第2回口頭弁論が14日、福岡高裁(森冨義明裁判長)で開かれ、長崎市の被爆者、城臺(じょうだい)美彌子さん(83)と田中重光さん(81)が尋問で「子や孫が戦争に行くことになるのではと不安を感じる」などと訴えた。
 城臺さんは、防空壕(ごう)に次々と運ばれる人々の姿など長崎への原爆投下直後の悲惨な光景を説明。2014年の平和祈念式典で読み上げた「平和への誓い」で「集団的自衛権の行使容認は日本国憲法を踏みにじる暴挙」と言及したことについて、「日本が戦争に向かい始めたと思い、恐怖や不安を感じた。許せず、被爆者として発言せずにはいられなかった」と明かした。
 田中さんは被爆後に親や兄弟が次々と体調を崩したと証言。同法制により「それまでは専守防衛だったのが、日本が戦争できる国に変わった」と述べ、「国が間違った方針を出せば裁判所が是正しなければ」と違憲判断を求めた。
 全国22の裁判所に起こした集団訴訟の一つ。長崎地裁は「武力攻撃の蓋然(がいぜん)性が高いとは認められない」などとして請求を退け、憲法判断を回避した。原告団は控訴審で、ロシアのウクライナ侵攻などを踏まえ同法制の違憲性を訴え、国側は争う姿勢。次回期日は11月1日。


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