日本は花王1社のみ−−25年間連続増配の“配当貴族”とは?米国の配当貴族への投資の仕方

配当貴族という言葉をご相談ですか? 配当貴族とは、長期にわたり毎年配当を増やしている企業を指します。

米国ではS&P500の構成銘柄のうち、25年間連続で増配を続けている銘柄を集めて算出した「S&P500配当貴族指数」というのが有名です。連続増配をしているということは、株主還元をしっかりと行う経営方針をとっている、といえます。加えて25年以上続けて配当を増やせていると言う事は、リーマンショックや、チャイナショック、コロナショックなどでも配当を増やし続ける力があったと言うことで、安定した利益を得られるビジネスモデルを持ち、財務もしっかりしているなどの条件を兼ね備えている企業といえます。

そのような企業で構成される配当貴族指数は、暴落の際でも戻りが早い傾向にあるので、投資家にとって覚えておく価値があるでしょう。


日本の配当貴族は花王1社のみ

日本では配当貴族銘柄は花王1社となっています。花王(4452)は一般消費者向けにヘルスケア製品の販売をしており、多くのリーディングブランドを持つ企業で、衛生、環境に対応した多様な技術の保有に強みがあります。1991年3月期の増配開始以来、30年以上増配を続けていることもあり、金融機関と海外機関投資家に支持されている企業でもあります。2022年12月期は前期比4円増配予定で、増配記録を更新する見通しです。

またSPK(7466)が24年連続増配で配当貴族銘柄にリーチをかけており、三菱HCキャピタル(8593)は23年増配となっています。今後、日本における配当貴族銘柄も増えそうですね。

また日本でコロナ禍でも増配できている、10年以上増配を続ける企業が増えているのは、注目したい点です。

NTT(9432)は配当利回りが3%を超えており、三井住友FG(8316)は5%超え。アズワン(7476)も11期連続増配で配当性向50%。ニトリHD(9843)やイー・ギャランティ(8771)、小林製薬(4967)、リコーリース(8566)、シスメックス(6869)なども10年以上増配を維持しています。

配当という切り口で銘柄を探してみるのも良いかもしれませんね。

米国の配当貴族は?

米市場への投資も検討すると、その選択肢はぐんと広がります。

改めてみてみますと、S&P500配当貴族指数は、S&P500構成銘柄のうち25年以上連続して増配を行っている、時価総額30億米ドル以上といった条件を満たした65銘柄から構成されており、指数の内訳を見ると生活必需品やヘルスケア、資本財セクターの占める割合が高く、エクソンモービル(XOM)やシェブロン(CVX)などエネルギー企業も含まれています。例えばその構成銘柄であるIBMの配当利回りは5%近い高水準です。構成銘柄から個別株を選ぶのも一考でしょう。

米国の個別銘柄に投資することにハードルを感じる方は、日本株に投資する感覚で配当貴族指数に投資する方法もあります。米国配当貴族ETN(2044)です。

米国配当貴族ETNの正式名称は、「NEXT NOTES S&P500 配当貴族(ネットリターン) ETN」となっており、米ドル建てでS&P500 配当貴族指数と連動する投資成果を目指すETNです。ETN(イー・ティー・エヌ)とは「Exchange Traded Note」の略で、上場投資証券、指標連動証券と呼ばれることもあります。ETFと同じようなものですが、発行体である金融機関が信用力をもとにして発行している債券であり、ETFのように裏付資産を持たないことは覚えておきましょう。

米国配当貴族ETNの管理費用は0.85%と高めで分配金の支払いは行われませんが、2015年からの長期チャートを見ますと右肩上がりであることがわかります。

TradingViewより

また投資信託という選択肢もあるので、気になる方は口座開設している証券会社で取り扱いがないかなど、調べてみてくださいね。

7月11日週「相場の値動き」おさらい

7月13日(水)に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比9.1%と41年ぶりの大幅な伸びとなったほか市場予想を上回り、エネルギーと食品を除くコア指数も5.9%上昇と市場予想を上振れ。

この結果を受けてFRBの金融引き締め加速がほぼ確実視され、7月のFOMCで100ベーシスポイントの利上げ確率が上昇し(75ポイントの利上げはすでに織り込まれている模様)相場で嫌気されました。

6月の米卸売物価指数も前月比1.1%上昇と市場予想を上回っています。

一方で原油先物やコモデティの値動きを表すCRB商品先物総合指数はピークアウトしており、インフレが落ち着いてきたとの観測は買いにつながっているようです。

TradingViewより

7月15日(金)の日経平均株価は、前日比145円08銭高の2万6788円47銭。前週7月8日(金)の日経平均株価終値は2万6,517円19銭でしたので、週間では271円28銭の上昇となりました。

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