ことしも相次ぐ水の事故 「背浮き」とは? その知識が命を守る

とても短い梅雨が明け、とても暑い日が続いています。水辺で涼を求めたくなりますが、水辺は危険がいっぱいです。

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たとえ泳いでいなくても水の事故にあうことは少なくありません。

講習会に参加した保護者
「最近、水の事故とかが多いので、自分の命は自分で守ってほしいと思って参加した」

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きょうのテーマは、『水辺は危険と隣り合わせ 命を守る “背浮き” とは?』。水の事故を防ぐためのポイントを押さえておきましょう。

直接、水の中に入らなくても池や川の近くでキャンプや釣りを楽しむ方は少なくないと思います。そこで気をつけていただきたいのが、水の事故です。

すでにことしに入って広島県内では川の死亡事故が相次いでいます。

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5月には三次市の馬洗川で中学2年生が、そのわずか3日後には広島市の太田川で高校1年生が命を落とす事故がありました。

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そして、先月も広島市の柳瀬キャンプ場にバーベキューに来ていた中学生がサンダルを拾おうと川に入って流され、意識不明となっています。

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事故が2件起きた太田川の上流なんですが、このあたりを良く知る太田川漁協組合の山中幸男会長に話を聞いて、川の断面図を作ってみました。

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▽岸からすぐそばの地点は浅くても川の中心部に向かって進むと、急激に水深が深くなっていくことがわかります。

▽気をつけて歩いていたとしても砂利が多いため滑りやすく、▽特に柳瀬キャンプ場の付近は川が蛇のように曲がりくねっていて、流れが早くなっているのだそうです。

また、▽この川では水温が低い地下水が湧いていて、溺れてしまった場合は本当に危険なんだそうです。

もちろん、危険なポイントやその日の天候などに気をつけて遊ぶことが一番大事なのですが、それでも万が一、自分や近くにいる人が水に落ちてしまったら、いったい、どうすればよいのでしょうか? 取材してきました。

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講習会
「もし、水に落ちた場合、今、サンダルがあるけど、サンダルでも足が浮きます。だから、必ず脱がないようにね。脱がないように。靴は脱がないように」

東広島市黒瀬町のB&G海洋センターです。川や池にはどんな危険があるのか、溺れてしまった場合にどうすべきかを実際に体験しながら学んでいます。

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講習会
「(ペットボトルに)ふたをしながらゆっくりしゃがんで足を離します」

ペットボトルで浮く練習。最初は難しかったようですが、慣れるとみんな上手にできました。

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参加者
「ちょっと難しかったけど、事故になってしまったときに役に立てたらいいなと思いました」

子どもたちに指導をしている荒川さんに事故を防止するポイントを教えてもらいました。

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子どもたちに水辺の安全指導 荒川徹さん
「まずは落ち着いて浮くことですよね。息を吐いたら沈んでしまうので、力を抜いて水に浮く」

荒川さんが力を入れて指導しているのが「背浮き」です。

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背浮きとは、水に落ちてしまったときに息をしながら浮く方法です。両腕を広げて伸ばすことがポイントです。

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耳まで水をつけて、あごを上げ、お腹を突き出し、体をそらせるとバランスが取れて上手に浮くことができます。

しかし、手を下げてしまうと、足から徐々に沈んでしまいます。

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あごが下がると腰が曲がってお尻から沈みます。

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水面から手を挙げるとそのまま沈んでしまいます。

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荒川さんは、近くにいる人が溺れたときに飛び込んで助けようとしてはいけないと言います。

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荒川徹さん
「自分も飛び込んで、自分も溺れてしまうのが、一番最悪なので、岸の方からロープを投げたりして浮くものを投げるとか、ペットボトルを投げるとか」

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身近なものとしてペットボトルを浮き代わりにするのは効果的なのだそうです。ふたを閉めたペットボトルは、人が浮かぶ助けになります。もし、ふたがない場合は、飲み口をしっかり手で押さえましょう。ペットボトルの持ち方は、バランスのよい場所を見つけることがポイントです。

RCC

荒川徹さん
「背浮き、ペットボトル浮き、水辺で心配でしたらライフジャケットを着て活動してもらえれば、水の事故は防げるかな」

RCC

「背浮き」について、あらためてご説明します。人の体というものは、息を吸えば2%は浮くそうです。

RCC

2%ですから、立った状態だと水面から出る部分は頭の先だけになります。手を挙げてしまうと水から出るのは指の先だけになるということです。しかも、声を出すと肺から空気を出すことになりますので、余計に沈みやすくなってしまいます。

RCC

― 手を挙げながら「助けて!」と叫ぶのはダメなんです。一方、背浮きは水から出る2%の部分を口と鼻にしているので、浮かびながら息ができるのです。

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