【政令市では初】広島市の大雨警報 初めて区ごとに発表

きょう(8日)夕方から、広島県では非常に激しい雨が降って大雨や洪水の警報が発表されました。その中で、ことしから広島市ではすべての気象警報や注意報の発表が、これまでの「広島市」全体を対象したものだったのが、8つある「区ごと」に発表される形へと変更されています。実際に警報が区ごとに発表されたのはきょうが初めてです。

仙台市のように東部や西部に分かれて発表される例はありますが、区ごとの発表は政令市では全国で初めてです(特別区である東京は除く)。

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なぜ、区ごとに発表することになったのか…その最大の理由が、雨の降り方に地域差が大きいためです。

広島地方気象台のまとめによりますと、2017年7月から3年半の間に広島市には全部で34回の大雨警報が発表されました。もし、これを区ごとに発表していた場合、最も多い佐伯区では30回発表される一方で、南区や安芸区では9回しか発表されない結果となりました。同じ広島市内でも多い所と少ない所で3倍以上の差があります。

区によって発表回数に大きな違いがあるのは、ザックリと言えば「郊外の山沿いの方が激しい雨がより降りやすい」からです。

今夜の激しい雨に関していえば、広島市内の広い範囲で降ったのであまり違いはありませんでしたが、過去に大きな被害が出た、2014年の広島土砂災害(77人犠牲)や、2018年の西日本豪雨(151人犠牲)で多くの犠牲者が出たのは、郊外の山沿いの地域です。平地が少ない広島市では平地が少なく山の斜面を切り開いて多くの住宅地が広がっています。そして土砂災害の危険エリアに多くの人が住んでおり、土石流の直撃を受けて甚大な被害につながります。

今回、警報を区ごとに発表することで期待されているのが、自治体の防災対応の効率化です。広島市は、合併で市全体の面積は広く、同じ市内でも気象条件が大きく異なるため大雨への警戒や避難情報を出すかどうかの防災対応はそれぞれの区ごとが判断して行っています。

一方、これまでは「警報」や「土砂災害警戒情報」が広島市全体に発表されていたため、区によっては、たいして雨が降っていないのに大雨に関する情報が度々出されることがあり、発表される情報に対する信頼度の低下が懸念されていました。

こうした状況を受けて、自治体が避難指示を出すか判断する目安でもある「土砂災害警戒情報」は、すでに去年6月から区ごとの発表に変更されています。今回の警報・注意報の変更は、それに続く形といえます。

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また、大雨以外の警報・注意報についても市全体へ発表する形のままだと受け手の混乱が危惧されるため、すべての警報・注意報に対してことしから区ごとの発表へ変更されています。(波浪や高波、高潮などは海に面した区のみ)

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