二枚貝の新種「ハチザクラ」発見 岡山大・福田准教授ら

新種の二枚貝ハチザクラ。貝殻の片方(右側)にくぼみがある(福田宏准教授提供)

 岡山大(岡山市)の福田宏准教授(貝類分類学)らの研究グループは、竹原市の干潟で二枚貝サクラガイの新種「ハチザクラ」を発見した。岡山県をはじめとして瀬戸内海沿岸で生息が確認されたものの、個体数は少なく、福田准教授は「今後の絶滅の恐れがあり、保全の必要がある」と訴える。

 名前は、採集した竹原市の賀茂川河口にある「ハチの干潟」にちなんだ。体長は約1.3センチ前後で、貝殻の片方の端にくぼみがあるのが特徴。福田准教授が昨年8月、ハチの干潟で過去に採取した貝の標本を調べる中で他のサクラガイには見られないくぼみに気付き、新たな種だと確認した。

 その後、岡山、瀬戸内、玉野市沖などの岡山県や、山口、愛媛県でもハチザクラを確認した。愛知県内の約33万年前の地層からハチザクラとみられる化石が見つかっていることも分かった。かつて西日本の広い範囲に分布していたが、現在は生息地が減少していると推測される。

 採取された場所ではいずれも個体数が少数にとどまる。ハチの干潟付近では火力発電所の新設計画も持ち上がっており、今後の種の存続が懸念されるという。

 福田准教授は「瀬戸内海では干潟の減少が進んでおり、新種の生息していた貴重な干潟の保全を考えるべきではないか」としている。

 研究成果は6月、軟体動物多様性学会など発行の学術誌オンライン版に掲載された。

福田宏准教授

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