【高校野球神奈川大会】公立勢奮闘の夏 強豪私学に挑み好ゲーム、藤沢清流は8強入り

ナインに声援を送る藤沢清流高の応援団=平塚市のバッティングパレス相石スタジアムひらつか(窪田 亮写す)

 高校野球の全国選手権神奈川大会は終盤戦がいよいよスタート。ここまで奮闘している公立勢6校が20日の5回戦で、ベスト8入りを懸けて強豪私学勢に立ち向かった。勝ち名乗りを挙げたのは県立の藤沢清流高の1校のみにとどまったが、真夏のグラウンドで選手たちはひときわ輝いた。 

◆運じゃなくて実力

 湘南学院高を1─0で下すと、バッティングパレス相石スタジアムひらつか(平塚市)の一塁側に陣取った藤沢清流高の応援団は、大きな拍手に沸いた。ベスト8進出は、大清水高と藤沢高の2校が再編統合されて現校名になった2010年以降で初の快挙だ。

 同校野球部OBで、大学3年生の矢沢幸太郎さん(20)は興奮を隠せない。この日「6番・一塁」でスタメン出場した弟の幸之介選手(3年)の活躍を見ようと、初戦の2回戦から欠かさず観戦。「運じゃなくて実力で勝っている。好ゲームばかりで、きょうも感動しました」と喜ぶ。

 矢沢さん自身は第2シードとして夏に臨み、4回戦で敗退。第1シードとして躍進する後輩たちに「自分たちの代が一番強かったけど…」と冗談めかしながらも、正捕手の米倉拓弥選手(3年)の兄優希さん(20)は「次も頑張って」とエールを送った。

◆みんなやりきった

 同球場で行われた第2試合では、県立の城山高が立花学園高に挑んだ。来春に相模原総合高との再編統合を控え、城山の名で戦うのはこの夏が最後。2─3で惜敗したが、地元の相模原市緑区から駆け付けた多くの人が健闘をたたえた。

 スタンドには、ベスト8入りした1989年大会で投手を務めた今関竜太さん(51)の姿も。「(第3シードの)山北高に勝ったと聞いて会社を休んだ。もっと多く見たかったけど、悔いのないようにやってくれた」と感慨深げに言う。

 エースの関戸輝選手(3年)の父孝輔さん(41)は地元のバス運転手。チームが遠征する際には運転手を務め、息子と共に汗を流してきた。

 泣き崩れるナインを孝輔さんはねぎらう。「(準々決勝がある)横浜スタジアムまで行きたかったけど、みんなやりきってくれた。お疲れさまと言いたい」 

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