「やっぱり捨てている…」 不法投棄の決定的瞬間 カメラ設置は野菜作る大学生

ゴミの不法投棄事件の解決に貢献したとして、警察から感謝状です。現場近くの祖父の畑で野菜作りをしていた大学生…。解決の決め手は?

【写真を見る】「やっぱり捨てている…」 不法投棄の決定的瞬間 カメラ設置は野菜作る大学生

表彰を受けたのは、広島市内に住む比治山大学3年の石出尚基さんです。

石出さんは、2年前から趣味で安佐北区の山にある祖父の所有する畑でサトイモや唐辛子を育てています。

そして、去年11月ごろのことです。いつものように畑に向かっているときにゴミが捨てられていることに気づきました。

比治山大学 3年 石出尚基さん
「自然の中になんでゴミがあるんだろうという、そういった不快感を感じました」

空きビンや空き缶、段ボールのほか、浴槽やドラム缶など、どうやってここに持って来たのだろうと思うような大きなゴミまで捨てられていました。そして、その数は日を追うごとに増えていったといいます。

畑をイノシシに荒らされたことをきっかけにトレイルカメラを設置し、周辺の動物の撮影を始めていた石出さん。

今度はそのカメラでゴミが捨てられていた現場付近を見守ることにしました。

そして、ことしの3月。カメラの映像を確認すると…。ゴミを捨てている人の姿をとらえていたのです。

石出尚基さん
「やっぱり捨てているんだという、なんでしょう、人に対する失望感みたいな。自然って大切にしないといけないのではないの?という気持ちがありました」

石出さんは、その後、映像を安佐北警察署に提出。警察は、その映像をきっかけにゴミを不法投棄した複数人を特定し、注意を促すことができたということです。

安佐北警察署 土肥章裕署長
「若い方が(不法投棄問題)に関心をもってもらうことは、すごく広がりを期待できますし、これからSDGsや環境に優しいなど環境問題は注目を浴びているので、これからも住民の方や関係機関のご協力をいただきながらやっていきたい」

石出尚基さん
「数人ではあるんですけど、注意ができたということでよかったのかなということと、ゴミは捨ててほしくないなという思いが強くなりました」

警察からゴミの不法投棄事件の解決に貢献したと称えられた石出さん。将来は「食べ物や自然に気をつかえるような栄養士になりたい」と話しています。

安佐北警察署の土肥署長によりますと、不法投棄は通報も受けても、捨てた人の特定が難しいそうです。今回は、石出さんが提供した映像や写真が本当に役立ったということです。

取材した記者によると、石出さんは今回の取材中でも周りに落ちているゴミを拾っていたのが印象的だったそうです。ゴミの問題は、いずれ生態系に影響を与え、人間に返ってくると思うと話していました。

© 株式会社中国放送