豚熱(CSF)の発生が確認された栃木県那須烏山市内の大規模養豚場で、県は24日、国内最多となる計5万4千頭の豚の殺処分作業を本格化させた。原因を探るため同日、農林水産省の調査チームと県職員も現地に入り、疫学調査を始めた。県によると、防疫措置初日の23日は処分対象の1.5%に当たる計801頭を殺処分した。2カ月半後を目標に処分終了を目指している。
農水省や県によると、殺処分するのは同市内の農場と関連する同市内の別の農場で飼育する豚。いずれも同じ生産者が経営しており、農場間で豚の移動があったという。
県によると、初日の23日は、獣医師資格を持つ職員を中心に15人が殺処分に従事した。24日からは1日当たり延べ150人を投入して本格化させた。
殺処分に加え、消毒ポイントや集合場所の運営など防疫措置全体では、同日正午までに計63人を動員した。内訳は県職員58人、市町職員1人、県警備業協会4人。
昨年4月、豚熱が発生した那須塩原市内の農場では、殺処分中に事故が発生したため、県は安全管理者の常時巡回など対策を徹底した。今回は真夏の防護服での作業となるため、作業時間を夜間から翌朝にかけた時間帯に設定するなど熱中症対策も講じた。
農場に出入りする飼料業者など関係車両を消毒するため、那珂川町とさくら市の2カ所に設けたポイントについては、同日正午時点、防疫措置関連車両を除き、利用はなかったという。
一方、疫学調査は農水省の職員4人、県北家畜保健衛生所職員2人の計6人で始めた。畜舎などで消毒や野生鳥獣の侵入防止対策などを確認し、関係者の聞き取りも進めたという。
同日午前、農場のある那須烏山市は、川俣純子(かわまたじゅんこ)市長を本部長とする対策本部を設置し、市南那須庁舎で第1回会議を開いた。27日以降、防疫作業に加わる可能性があるため、各課で対応への備えを確認した。県職員の補助的な業務が見込まれるという。風評防止のため情報発信に力を入れることも確認した。
発生農場から半径10キロ以内に22の農場があるが、県は全農場でワクチン接種をしているため、豚の移動や搬出を制限しない。いずれの農場も、24日正午時点で異常は見られないという。