市場に張り付く必要はない?現代でも廃れない「相場の格言」から学ぶ

今回は【相場の格言】から、今後の相場に対しての見方や、ヒントなどを探っていこうと思います。

株式相場の格言には、今から約300年前の江戸時代に行われていた米(コメ)相場の時代から言い伝えられてきたものが多く存在します。投資の心得や戒めなどが短い言葉でまとまっています。現代の株式相場でも参考になり、相場に対する心構えや投資家心理について現代でも廃れることなく用いられています。


格言1:必ずしも市場にいる必要はない

1つ目は「必ずしも市場にいる必要はない」という格言です。意味は一日中、市場動向が気になり、株価を追い続ける投資家がいるが、そのような人は目先の動きが気になりすぎ、情報に惑わされて不必要に売買を繰り返してしまうことが多い。 結果的に損をしてしまうということを戒めた言葉。

私は証券会社に勤務していた時代、ディーラー業務に約25年間携わりました。現在は個人投資家として相場を見続けていますが、様々な相場環境を経験しました。最近は自動売買(機械化)の進化により、物凄いスピードで株価が動きます。思惑通りに値が動いた場合は数秒で利益がでる事があります。しかし、自分の考えとは逆に動いた場合は数秒で損失を招いてしまう事もあります。

最近はこの格言を大いに活用し、瞬間的なトレードよりも丸1日から1週間後、またはそれ以上先に上昇するような株を売買するように心掛けています。長年、ディーラーとして1日の(または瞬間的な)値動きを追いながら売買をしてきたので、そのような売買も行いますが、自動売買が横行する現在の相場環境においては、手法にこだわり過ぎない事も必要です。

格言2:相場は相場に聞け

2つ目は「相場は相場に聞け」という格言です。人は誰でも相場見通しに迷いを持つもの。上がると思ったのに動きが鈍く、下がるだろうと思った相場が意外にも下げない、などといった動きはよくある事。そんな時には我を通さず、一歩引き下がって相場の動きを眺めつつ、耳を傾けるように謙虚になろう、という意味です。

投資家であれば、自分が買った株は上がって欲しい、売った株は下がって欲しい、と思うでしょう。しかし、思うようにいかないのが投資の世界だと思います。どれだけ投資の勉強をしようが、学歴が優れた方であろうが、100%勝ち続ける事はないと思います。私も投資したい企業があれば細かく詳しく調べ、この銘柄の株価は必ず上がるだろう、と考え購入します。しかし、結果として全く株価が上がらない企業もあります。以前はそんなはずはないと、我を通してしまい、大損した事もあります。その様な過去を踏まえ、最近は「相場は相場に聞け」という格言を常に心に刻み、早めに対処するようにしています。

まずは損失を大きくしない事が投資において重要と考えています。

格言3:麦わら帽は冬に買え

3つ目は「麦わら帽は冬に買え」という格言です。意味は人が注目する前に買えば、株は儲かるということです。今年は6月中旬から6月下旬にかけて、日本各地で6月の過去最高気温を更新しました。本格的な夏を前に、飲料水やビール、日傘の売り上げが伸びる可能性が高いことから、関連企業の株価が上昇する場面がありました。

このような銘柄を誰も注目していない時期(冬)に株を購入しておき、注目されて株価が上昇した時に売却するという手法です。当然、冷夏なども考えられるだけに、毎年当てはまる訳ではありません。逆に冬に流行りそうなレジャー関連などの銘柄を夏場に仕込むことも同様です。

その他では、注目を集めているゲームの発売やノーベル賞の発表に合わせ、事前に株を購入し、来るべき時を待つ方法です。

格言4:漁師は潮をみる

最後は「漁師は潮をみる」という格言です。意味は漁師が気象や潮の流れを注視するのと同じように、株式投資は相場の流れを掴み、波に乗らなければならないということです。
私達が生きていく上でも、リズムがあると思います。良いリズム、悪いリズム、日々違っているでしょう。株の取引をする上でも、常に流れを感じる事が非常に重要と思います。

良い流れを大事に、絶対にその流れを逃さないように心がけたいです。もし流れを見失ったら無理をせず、一度俯瞰して、改めて相場に向かい合います。値動きの激しい相場環境で、悪いリズムは常に隣り合わせです。その様な波にのまれる危険性があるという事を忘れずに相場とは真摯に向き合う事が必要です。

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