【高校野球神奈川大会】横浜・村田監督、3年生との固い絆で勝利つかむ「いろいろ乗り越えてくれた」 

2年連続20度目の優勝を決め、ナインに胴上げされる横浜の村田監督=横浜(花輪 久写す)

◆横浜1-0東海大相模
 高校野球の全国選手権神奈川大会は横浜高が2年連続の頂点に立ち、14日間の熱戦を終えた。神奈川の覇権を長年競ってきたライバル、東海大相模高との熱戦をサヨナラで制した村田浩明監督(36)は「3年生がいろいろなことを乗り越えてくれた」と教え子に感謝する。苦難を経ながら選手と共につかんだ栄冠に頬をぬらした。

 ゲームセットの瞬間、喜ぶ選手たちを見詰めると涙があふれた。2年続けて宙を舞ったが「正直苦しかった」と胸の内を明かす。

 昨夏は名門で指揮を執ってから初めて甲子園に出場したが、続く秋は新型コロナウイルスの集団感染で県大会を途中で辞退。十分な練習を積めないまま迎えた今春は、準々決勝で桐光学園高に完敗した。

 5月には一部の部員が相次いで退学。精神的に追い詰められ、グラウンドを空ける日も多くなった。つらかった時期を支えてくれたのが就任1年目に入学した今の3年生たちだ。

 主将の玉城陽希(3年)が当時を振り返る。「監督が戻ってきたときに、強くなったなって感じてもらえるように頑張ろうって、みんなに話したんです」。信頼関係は壊れるどころか逆に深まったという。

 今大会期間中には、高山大輝部長(31)が体調不良で途中からチームを離脱するアクシデントも。それでも、選手たちは勝ちながら力をつけていった。

 決勝当日。村田監督は午前4時に起きて書いた手紙を試合前に、71人の全部員に配った。「ここまで来たら勝ちたい思いが強い方が勝つ。3年生のためにやるのが2年生だ」。自分自身も横浜高時代、2年生のときに正捕手として春の選抜大会に出場した。そんな思いをしたためたという。

 サヨナラ打を放った萩宗久外野手は2年生。甲子園切符を決めるホームにかえってきたのは3年生の岸本一心外野手だった。

 「今の3年生が横浜高校をつないでくれた。彼らの夏を奪われたくなかった。私の指導者人生ですごく価値のある勝利」。村田監督はしみじみと語った。

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