イノシシ急増 過疎化見透かしたか 長島など瀬戸内の島で繁殖

体のしま模様からウリ坊とも呼ばれるイノシシの子ども=瀬戸内市・長島

 ハンセン病の国立療養所、邑久光明園と長島愛生園がある長島(瀬戸内市)でイノシシの子どもに出合った。道路脇で親子連れのシカを見かけ撮影していた今月中旬、4匹のウリ坊が現れた。小さな鼻で盛んに地面を掘り餌を探していた。親は見当たらなかったが、イノシシもこの島で繁殖しているのだ。海を泳ぐイノシシや、本土と長島を結ぶ邑久長島大橋を渡るシカも目撃されている。

 かつて新たな耕作地や居住地を求め人々が移り住んだ中山間地域や島しょ部。その過疎化を見透かしたかのようにイノシシやシカが増加している。

 長島では、菜園をフェンスで囲い、桜などの樹木には防護ネットを巻くなどの対策を余儀なくされている。捕獲も試みてはいるが、イノシシやシカはここ5年で急増。車との衝突注意の道路標識も設置された。

 日中望遠レンズで捉えた長島のウリ坊。その瞳は穏やかで優しかった。

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