小倉智昭さんのがん発見の経緯と闘病中の葛藤 「すぐには全摘出手術を受けられなかった」福井県で明かす

膀胱がんなどの体験を語る小倉智昭さん=7月30日、福井県福井市のアオッサ県民ホール

 福井県済生会病院集学的がん診療センターの市民公開講座「患者さんに優しいがん診療」(福井新聞社共催)が7月30日、福井市のアオッサ県民ホールで開かれ、一般向けにはオンライン配信された。がん治療を続けるフリーアナウンサーでタレントの小倉智昭さん(75)が講演。がん発見の経緯や闘病中の葛藤などを赤裸々に語りながら、小倉流のがんとの付き合い方を紹介した。

 小倉さんは2016年に膀胱(ぼうこう)がんを公表し、18年に全摘出手術を受けた。昨年肺への転移が見つかり、化学療法を受けるため休業。今年4月から活動再開した。

 膀胱がんが見つかった時のことを回想。「排尿した洋式便器に一味唐辛子の粉のような赤い物がぽつんと浮かんだのを見た」といい、数カ月後に病院で詳しく調べたところがんだと分かった。内視鏡手術を受けたものの、膀胱の筋肉層まで浸潤した状態であることが分かり、全摘出手術を勧められた。だが、周囲の男性機能も一緒に摘出することになるため「男としての未練があった。がんが見つかったときよりショックだった」と、すぐには全摘出手術を受けられなかったことを明かした。

 また、膀胱がん発見には、長年糖尿病を患い、毎日手帳に健康状態を書いていたことがつながったとも。「自分の体に敏感であるべき。メモ程度でいいから、自分の体のことを記録しておくと後で役に立つ」と呼び掛けた。現在も肺にがんがあり「私はがんを飼っていると言っている。医師と密接に会話を続けていくことが大事」と話した。

 公開講座ではこのほか、県済生会病院の専門医と看護師が、新型コロナウイルス禍での健診の状況や、大腸がんや膵臓(すいぞう)がんの治療方法を紹介した。公開講座の動画は、8月28日から同病院のホームページで公開される。

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