「被爆者の声を聞いて」 NPT会議発言予定、和田さん訴え 長崎で国際平和シンポ

核軍縮の専門家らと意見を交わしたパネルディスカッションで、核廃絶への思いを語った和田さん(右)=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 米国で8月1日始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に出席する日本原水爆被害者団体協議会(被団協)事務局次長、和田征子さん(78)=横浜市=が30日、長崎市などが主催する「国際平和シンポジウム」に登壇し、世界の指導者に「いま生存する被爆者の声、(亡くなった)過去の被爆者の声を聞いてほしい」と訴えた。
 和田さんは1歳の時、長崎で被爆。記憶はないが母に体験を聞き取り、国内外で証言活動や核兵器廃絶運動に取り組む。再検討会議(1~26日)では5日の非政府組織(NGO)セッションでスピーチ予定。
 日本政府は核兵器禁止条約参加に否定的だが、再検討会議では岸田文雄首相が演説する。和田さんは「政府は(段階的に核軍縮を進める)ステップ・バイ・ステップと言うが最初のステップも分からない。NGOや市民との考え方はかけ離れているが、めげずに活動を続けなければ」と強調。ロシアのウクライナ侵攻や核危機の高まりには「深い闇に落ちるような恐怖を感じる。世界を終わりにしないために、なすべきことを皆さんと共有し、思いを深めたい」と語った。
 再検討会議には、6月の同条約第1回締約国会議にも出席した県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(79)や田上富久市長、全国被爆二世団体連絡協議会の崎山昇会長(63)らのほか、県知事として初めて大石賢吾知事も参加する。

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