死亡した小2女児、プール吸水口に吸い込まれ…今年で16年目の夏、命日に市長ら献花 胸に刻まれた情景

献花台に花を手向ける高畑博市長(中央)ら市関係者=31日午前8時、ふじみ野市大井武蔵野

 埼玉県ふじみ野市大井武蔵野の市営「大井プール」で2006年7月、所沢市の小学2年戸丸瑛梨香さん=当時(7)=が吸水口に吸い込まれ死亡した事故を受け、ふじみ野市の高畑博市長ら市関係者は発生から16年が経過した31日、プール跡地に隣接した市立スポーツセンター総合体育館敷地内で献花し、戸丸さんの冥福を祈るとともに、悲惨な事故を二度と起こさないための安全管理の徹底を誓った。

 この日、跡地を訪れたのは高畑市長と福島浩之副市長、朝倉孝教育長、同市議会の山田敏夫議長、川畑京子副議長の5人。午前8時、献花台に花束を手向け、黙とう。改めて戸丸さんの死を悼んだ。

 献花後、高畑市長は「ひとりの少女の尊い命が失われた事故から16年が経過したが、この地で起きた悲しい事故は胸に深く刻まれている。どんなに時間が経過しても公共施設を安心して利用できる安全管理を徹底することが私たちの使命」と述べた。

 事故は、プールの吸水口の防護柵が強度の弱い針金で留められ、点検や対策が講じられていなかったことが原因。事故後、市は7月の最終週を公共施設安全点検週間に設定。毎年、市内の公共施設の安全点検を実施しているほか、戸丸さんの命日には市長らが現場で献花を行っている。

 大井プールは2010年に解体され、跡地は老朽化した市内2カ所の弓道場の代替施設として、18年11月に同センター弓道場が設置されている。

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