きょうからNPT会議

 「莫大な核兵器を保有する米国は、核戦力を有する同盟国の仏、英国と合わせても、ウクライナに対するロシアの侵略戦争を抑止できなかった」。明快に指摘したのは核大国・米国の1400を超える都市の市長でつくる全米市長会議。そう、核で戦争は防げないのだ▲6月の総会決議で、膨大な予算を軍事・核兵器に費やすのではなく、市民の暮らしや地域社会を最前線で支える自治体に多くの予算を配分すべきだと訴え、志を同じくする平和首長会議への賛同と加盟を呼びかけた▲1982年、広島、長崎の2市でスタートした平和首長会議は今年で設立から40年。核を有する国の多くの主要都市も巻き込みながら加盟数は増え続け、7月現在、166カ国・地域の8188都市に達している▲攻撃にさらされるウクライナは首都キーウやオデッサなど5都市、逆に多くの兵士を戦場に送り込むロシアは67都市が共に名を連ねている▲軍拡で自国を安定させ、さらには他国より優位に立とうとする国家の思惑をいかに打ち消し、暴力のない国際社会を実現していくのか▲きょうから核拡散防止条約(NPT)再検討会議が米ニューヨークの国連本部で始まる。まずは停戦、そして核軍縮の実のある一歩に向け、非核保有国とも連帯し、市民レベル、都市レベルで包囲網を築きたい。(真)

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