長崎県MaaS始動 県と交通9事業者連携 検索、決済ワンストップに

長崎県MaaSのスタートを発表した県内交通事業者の代表者ら=長崎市尾上町、出島メッセ長崎

 JR九州、長崎自動車(長崎バス)ら本県関係の交通9事業者などは1日、多様な交通手段のルート検索やチケット予約などをワンストップでできる「長崎県MaaS(マース)」のサービスを2日から開始すると発表した。9月23日の西九州新幹線(武雄温泉-長崎)開業に向けて県内観光周遊の利便性を高め、公共交通事業の活性化を図る。
 県は2020年、交通事業者や観光団体などで構成する協議会を設置。新幹線開業や統合型リゾート施設(IR)誘致に向けて県内観光の周遊性向上が求められる一方、人口減少や新型コロナ禍の影響で交通事業が厳しい経営環境に置かれているとし、地域交通のネットワーク化や持続性確保などを軸とするMaaS導入指針を策定した。これを受け、本県関係の交通事業者でつくる実行委が、行政や観光団体とも連携しながら、具体的な検討を進めてきた。
 長崎県MaaSは、トヨタグループが提供するアプリ「マイルート」に導入。県内公共交通機関を組み合わせたルート検索のほか、運行情報や目的地周辺の店舗情報などを閲覧できる。県外から検索した場合、鉄道や飛行機、高速バス、レンタカーの予約ページと連携し、円滑に購入できる。
 交通機関のデジタルチケットも販売。2日から、長崎バス、長崎電気軌道、西肥バス、松浦鉄道の1日乗車券を販売する。9月23日以降は、県営バスやJR九州も加わるほか、長崎市、佐世保市を中心に観光施設のデジタル入場券も販売予定。交通機関同士や交通機関と観光施設を組み合わせたチケットも検討している。
 実行委に参画した交通事業者らが1日、長崎市内で会見。長崎バスの嶋崎真英社長は「長崎をもっと楽しく魅力的なまちにするためには、地域の交通事業者の幅広い連携が必要。MaaS導入で加速することを願う」と述べた。


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