児島湾の環境改善へ「海底耕運」 漁協連、海水に栄養塩溶け込ませ

漁具で海底の泥をかきながら航行する漁船

 岡山市南部の4漁協でつくる児島湾漁協連合会は2日、湾内の海底の泥をかき混ぜる「海底耕運」を行った。泥に含まれる栄養塩を海水に溶け込ませ、魚やノリが育つ環境を改善する狙い。

 小串港(同市南区小串)沖などで、会員の漁師ら12人が漁船4隻で約4時間作業。くしのような爪が付いた漁具を海底に下ろして船を走らせ、泥をかき上げた。漁具に引っかかったごみも回収した。

 同連合会などによると、児島湾は有機物の死骸などが混ざったヘドロが堆積し、魚介類が生息しやすい砂地が減少。記録がある2018年の同市の漁獲量は87トンで、20年前の10分の1近くに減っている。ヘドロはプランクトンや海藻の養分となる栄養塩を豊富に含むが、バクテリアに分解される時に酸素を消費し、海を酸素不足にする。かき回すことで水質改善や砂地の復活が期待できるという。

 同連合会は16年に海底耕運を開始。今年は7月上旬から順次始め、この日は合同で行った。今月10日ごろまで取り組む。倉敷、玉野、備前、瀬戸内、笠岡市の漁業者も同様の作業を行っている。豊田安彦会長は「かつて『魚の宝庫』と言われた児島湾だが、今では取れる魚が大幅に減ってしまった。今後も地道に作業を続け、豊かな海を取り戻したい」と話した。

© 株式会社山陽新聞社