被爆地選出 岸田総理が語ったこと 広島・原爆の日

原爆投下から77年の平和記念式典に初めて被爆地を選挙区とする現職の総理大臣が参列しました。核兵器のない世界に向けて岸田総理は何を語ったのでしょうか。

核兵器廃絶をライフワークとする岸田総理。総理になって初めて平和記念式典であいさつしました。

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岸田総理(平和記念式典)
「77年前のあの日の惨禍を決して繰り返してはならない。これは、唯一の戦争被爆国である我が国の責務であり、被爆地・広島出身の総理大臣としての私の誓いです。我が国はいかに細く、険しく、難しかろうとも、核兵器のない世界への道のりを歩んでまいります。このため、非核三原則を堅持しつつ、厳しい安全保障環境という現実を核兵器のない世界という理想に結びつける努力を行ってまいります」

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あいさつの中で岸田総理は、現在、ニューヨークで会議が開かれているNPT(核拡散防止条約)の重要性を強調。一方で核兵器禁止条約には触れませんでした。

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原爆資料館では、国連のグテーレス事務総長と館内を視察。被爆者の遺品などをともに見て回りました。

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岸田総理
「被爆の実相に対する正確な認識こそ核軍縮、核兵器の世界に向けた取り組みの出発点だと思っています」

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岸田総理がこの後、向かったのは、被爆者団体の代表らからさまざまな援護策などの要望を聞く会場です。

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核兵器禁止条約への日本政府の参加を求める意見に対し、時間をかけて理解を求めました。

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岸田総理
「核兵器禁止条約は、核兵器のない世界に向けての出口にあたる大変重要な条約であると、わたしも強く認識をしています。ただ、先ほど申し上げました、今、目の前には本当に厳しい現実があります。現実をまず変えるためには、なんといっても核を持っている国・核兵器国を変えないと。対応を変えさせないと。核兵器国を変えて、そして出口につなげていくためにはどうしたらいいのか、これを具体的に考えていかなければならないと、わたしは思っています」

出口、つまり理想に近づける具体的な一歩として胸を張ったのが、「ヒロシマ・アクションプラン」。先日、NPT(核拡散防止条約)再検討会議で自ら発表した核兵器保有国に核戦力の透明性の向上などを求める行動計画です。

RCC

岸田総理
「ぜひ、こうした取り組みを具体的に進めていくことによって核禁条約、核兵器のない世界、この出口・理想に向けて現実を動かしていきたい」

RCC

また、5月の日米首脳会談や6月のG7サミットで核兵器のない世界を目指すという成果文書を得たことも実績としてアピール。出口、つまり核兵器のない「理想」に向けて現実を動かすことが「橋渡し」だと力を込めました。

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被爆者代表の1人 田中聡司さん
「がっかりしました。残念でした。核保有国に個別にでもいいから交渉して、あらゆる手立てを尽くして。これが、橋渡しでは」

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岸田総理(記者会見)
「核兵器のない世界に向け、一歩一歩、歩みを進めていくために全力を尽くす決意を新たにした」

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これまでどおり現実的な取り組みの必要性を強調した岸田総理。物足りなさを感じる人たちを納得させるには、わかりやすい成果が求められそうです。

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