被爆建物「旧被服支廠」を舞台に絵本にした 黒田征太郎さん

今月1日、広島市にある被爆建物「被服支廠」をテーマにした絵本が出版されました。タイトルは、「旅のネコと神社のクスノキ」。6日、作者らのトークイベントが開催されました。

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イラストレーター 黒田征太郎さん
「立ってるんだ。がんばってんねんなあと思いながら、描こうと思って」

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作家 池澤夏樹さん
「その植物は、レンガや鉄と違って生きているわけだから、いずれ芽吹いて緑になって花が咲くんだろうと」

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広島市南区で開催されたトークイベントには20人の聴衆が作者の思いに耳を傾けました。

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会場となったエディオン蔦屋家電では、絵本の原画や絵本のために制作された木工作品があす7日まで展示されています。

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絵本「旅のネコと神社のクスノキ」は、77年前の夏の陸軍被服支廠を舞台にクスノキがネコに戦争や命について語る物語です。被服支廠を通して被爆の歴史と軍都広島の歴史が垣間見えます。

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文を担当した 池澤夏樹さん
「加害被害の話はとりあえず置いときました。加害者の面もある。それは広島だけではない。日本全部がそう」

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「日本全部が加害者であり、被害者でもある。そのどちらかに加担するのではなくて、その図式全体を入れなければいけないという気持ちはありました」

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「原爆をキーワードにしているけれど、その言葉を使わない。そのうえで人間たちがする戦争がどういうものかを人間じゃないものの目から見る。それが旅のネコであり、神社のクスノキ。だから距離があるんですよ。そこを黒田さんはうまく具体化してくださった」

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スタジオには、この本の絵を書かれたイラストレーターの黒田征太郎さんにお越しいただきました。

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イラストレーター 黒田征太郎さん
― 3年前に初めて被服支廠に行かれたそうですが、印象は?

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― 黒田さんはライブペインティングでもさらさらと楽しそうに絵を描かれるイメージがありますが、今回は?

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― 被服支廠は、世界最大の被爆建物でもあり、軍都広島の象徴でもあるわけですが?

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― 舞台は被服支廠ですが、主人公はネコとクスノキ。人間ではない生き物に語らせたのはなぜ?

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絵本「旅のネコと神社のクスノキ」の原画展は、あす7日まで開催されています。黒田さんのトークショーは7日、福山市内でも開催されます。

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