「戦争では何も得られない」 栃木県中学生が3年ぶり平和記念式典参列

原爆死没者慰霊碑に献花し手を合わせるさくら市の中学生ら=6日午前、広島市中区

 「あの日」から77年を迎えた6日朝。広島市中区の平和記念公園で営まれた平和記念式典に、さくら、鹿沼両市の中学生が参列し、原爆死没者への祈りをささげた。新型コロナウイルスの影響で、本県中学生の参列は3年ぶり。派遣事業が中止となった本県市町では、自宅から式典を見つめた生徒もいた。ロシアのウクライナ侵攻に伴い核の脅威が高まる中、未来を担う若者たちは広島、栃木で平和への思いを受け取り、後世への継承を心に誓った。

 広島市中心部に原爆が投下された午前8時15分。爆心地にほど近い同公園には「平和の鐘」が鳴り響き、大勢の人々が黙とうをささげた。コロナ対策で例年の3分の1に絞られた式典への参列者。その中に本県の中学生26人がいた。

 広島市内の小学生による「平和への誓い」。さくら市喜連川中3年の橘美羽(たちばなみう)さん(14)は、自分より年下の2人が平和や戦争への思いを語る姿に刺激を受けた。「私たちも一人一人ができることから、平和のために意識して行動していきたい」。思いを心に刻んだ。

 式典会場では各国大使ら外国人の姿が目に映った。「日本だけでなく、世界中の人が核廃絶を願っている」。テレビで見る場所に自分たちが座り、見て、聞いた経験の大きさを感じた。

 会場に設置された大型モニター。鹿沼市西中3年の豊田(とよだ)主税(ちから)さん(14)は式典前、被爆体験者の証言映像を見つめた。「原爆による大きな被害を知り、核兵器はなくさなければならない」と改めて考えた。

 被爆者の高齢化で被爆体験の継承が難しくなっていることも知った。「世代が代わっても自分たちが伝えていきたい。まずは学校のみんなに学んだことを報告したい」と前に向いた。

 参列がかなわなかった生徒も、本県から「原爆の日」の広島に思いをはせた。

 宇都宮市星が丘中2年の斎藤(さいとう)さくらさん(14)は、自宅でテレビ中継の映像に見入った。ナレーションの説明や平和宣言などを聞き、自分の知識のなさを実感した。

 「戦争では何も得られない。各国が協力しないと前に進めない」との思いを強めた。「今回を機に自分なりに調べて学んでいきたい」。初めて見た式典から平和への思いを受け取った。

式典前に献花し、原爆死没者慰霊碑に手を合わせるさくら市の中学生ら=6日午前、広島市中区
参列する予定だった平和記念式典のテレビ中継を見つめる斎藤さん=6日午前、宇都宮市内

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