感染症から住民守った「先輩」に誓い 明治時代にコレラ殉職 横浜・戸塚で神奈川県警一等巡査の墓前祭

西岡一等巡査の墓前で手を合わせる戸塚署員=横浜市戸塚区の宝蔵院

 明治時代に流行したコレラの防疫活動に奔走し、自らも感染して命を落とした神奈川県警察(当時)の西岡駿吉一等巡査(享年28歳)の墓前祭が8日、横浜市戸塚区吉田町の宝蔵院で執り行われた。後輩らが墓前で手を合わせ、猛威をふるう感染症から住民を守った先輩の冥福を祈った。

 署や警親会戸塚支部によると、西岡一等巡査は1879(明治12)年、現在の戸塚区で勤務。コレラの予防や住民の救済活動に力を注ぎ、感染者の遺体の処理などにも当たったが、同年9月4日に殉職した。罹患(りかん)者は当時、移動を禁じられていたため、故郷の福井県に戻ることがかなわず、同院に埋葬された。

 墓前祭は20年ほど前から毎年、県警親会戸塚支部が主催。今年は同支部のメンバーや戸塚署員ら19人が参列し、墓の周囲を清掃するなどした。同署の上野未唯巡査(21)は「感染症に立ち向かった先輩の勇気ある行動を見習いたい」と話し、菅井優作巡査(23)は「県民をコレラから守ろうとして尽力したことを風化させず、職務に生かしたい」と決意を語った。

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