栃木県、コロナ軽症者に受診控え要請 お盆期間、発熱外来の逼迫緩和へ

お盆期間中の受診の目安について説明する福田知事=9日夕、県庁

 栃木県の福田富一(ふくだとみかず)知事は9日、臨時記者会見を開き、新型コロナウイルスの診療・検査体制が手薄になるお盆期間中(13~15日)は、軽症者は医療機関の受診を控えるよう呼びかけた。高齢者や持病のある人などには、かかりつけ医に相談した上での受診を促した。発熱外来の逼迫(ひっぱく)を緩和するためで、重症化リスクの低い20代の軽症者への抗原定性検査キットの無料配布は10日から始めるとした。

 感染者の急増に伴い発熱外来では診療までに長時間かかる例が出ている。県によると、救急車の到着後も搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」も7月25~31日の1週間で139件と過去最多になり、県内の医療体制は厳しさを増している。

 県がお盆中の医療機関の開設状況を調べたところ、平常時の1割未満しか診療を行わない地域もあった。福田知事は「必要性が高い人が速やかに受診できるよう、軽症の場合は自宅療養を検討してほしい」と述べ、軽症者は受診を控えることや、救急車の適正利用、事業者には陽性・陰性証明を従業員に求めないことなどを要請した。

 検査キットは国から配分された30万個(見込み含む)を確保。県の委託業者が運営する「配布センター」にメールで申し込むと、翌日か翌々日に届く。自主検査で陽性だった場合は県の電子申請システムで申請してもらい、登録情報を基に医師が陽性と診断すれば、保健所に発生届を提出する。

 当面は20代のみが対象だが、需要や医療提供体制の負荷が高まれば、対象年齢の拡大も検討する。

 福田知事は「まだピークアウトとは言えず、気を許せない状況だ」と危機感をにじませ、県民や事業者に理解と協力を求めた。

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