禁足地とは、歴史や宗教的な背景などで立ち入りが禁止されている場所……。日本全国には、一般人の立ち入りが禁止されていたり、限られた人しか入ることができないスポットなどが点在しています。今回は、美しくも恐ろしい日本の禁足地を12ヶ所ご紹介。なんと東京23区にも禁足地が存在するんです。いずれのスポットも、圧倒的な神秘のパワーを感じますよ。
>>東京駅の床にあるこの印、何だかわかりますか?〜実はあの衝撃の事件現場!〜【東京ミステリー】
薄暗くて荘厳な「オソロシドコロ」<長崎県・対馬>
「オソロシドコロ」がなぜ禁足地になったのかを知るためには、対馬の伝承を振り返ることがポイントです。対馬はかつて対馬固有の「天道信仰(太陽崇拝)」でした。その聖地なのが「オソロシドコロ」です。文字通り「恐ろしいところ」という意味で、八丁郭のほか、裏八丁郭、多久頭魂神社の不入坪の3カ所のことをいいます。
龍良山(たてらさん)は、天童法師が神事を行っていた山とされ、山全体が「天道信仰」の聖地です。ここには、八丁郭=天道法師のお墓と、裏八丁郭=母のお墓があります。1300年ほど前から仏僧や山伏以外は、立ち入り禁止でした。この「八丁郭」は、地元の人たちから「オソロシドコロ(おそろしいところ)」と呼ばれ、立ち入ると祟りがあるといわれていたのです。
>>>天道信仰の聖地へ立ち入る際の厳格なルールとは・・・?
【日本の美しい禁足地vol.1】薄暗く荘厳な雰囲気~長崎・対馬の「オソロシドコロ」~
オソロシドコロ(八丁郭)
住所:長崎県対馬市厳原町浅藻(奥浅藻地区)
電話: 0920-52-1566(対馬観光物産協会)
アクセス:厳原港から車で約54分
HP:https://www.nagasaki-tabinet.com/islands/spot/792
クリアブルーの海に囲まれた「新城島(パナリ島)」<沖縄県・八重山郡>
image by 国土地理院 from Wikipedia
周辺には石垣島や西表島、黒島などがあり、観光名所として人気のエリアにありながらも、唯一ガイド同伴でないと立ち入ることができない「新城島」。現在、新城島は過疎化が進んでいて、島民は10名以下だといわれています。もちろん、宿もなければ、商店も存在しません。
そんな新城島には、捕獲したジュゴンの骨などを祀っている神社「人魚神社」があり、ここは島民以外は禁足地となっています。島民もお祭りの日しか立ち入れないのだとか。また、島には録音や撮影を禁止すると書かれた看板が点在しています。しかし、具体的に何の録音や撮影が禁止なのか定かではありません。毎年7月の終わり頃には「豊年祭」が開催されていて……!?
>>>島民しか参加できない「豊年祭」とは一体・・・?
【日本の美しい禁足地vol.2】クリアブルーの海に囲まれた~沖縄八重山郡の「新城島(パナリ島)」~
新城島(パナリ島)
住所:沖縄県八重山郡竹富町新城
アクセス:石垣島からの定期便がないため、シュノーケリングなどのツアーに参加する必要があります。
緑の竹藪が涼やかな「八幡の藪知らず」<千葉県・市川市>
市川市役所の斜め向かい側にあり、明るく人通りも多いエリアに位置する森が、「八幡の藪知らず」です。この地が禁足地になった根拠は、日本武尊(ヤマトタケル)の陣屋説をはじめ、平良将の墓所説、平将門の墓所説、将門の家臣の墓所説など諸説あります。
なかでも面白いのは、底なし沼がある説! 八幡の藪知らずは窪地になっていて、底なし沼があり危険なので立ち入り禁止になったというのです。そして、八幡の藪知らずの伝承を聞いた水戸黄門が当地に入ってみたところ、白髪の老人が現れたと言われています。その老人の正体は……?
>>八幡の藪知らずで御朱印を授かるためには・・・
【日本の美しい禁足地vol.3】緑の竹藪が涼やか~千葉県市川市の「八幡の藪知らず」~
八幡の藪知らず
住所:千葉県市川市八幡2丁目8
電話:0473324488
HP:https://www.city.ichikawa.lg.jp/edu09/1111000055.html
弘法大師空海が修行を続ける!?「奥の院の御廟(ごびょう)」<和歌山県・高野山>
日本の仏教における聖地のひとつである高野山には、いまもなお弘法大師空海が修行を続けているとされる御廟(ごびょう)があります。ここに立ち入ることができるのは、維那(いな)と呼ばれる特殊な僧侶のみです。
1200年にわたり、唯一、維那だけが朝6時と10時半に弘法大師のもとに、1日2回の食事を運んでいます。その儀式が「生身供」(しょうじんぐ)です。さらに弘法大師に食事を運ぶ前に、嘗試(あじみ)地蔵に味見してもらうとのこと。また、維那に任命された僧侶は、御廟の中のことを一切他言してはいけないそうです。
>>弘法大師が新しい衣をお願いした人物がいた・・・?
【日本の美しい禁足地vol.4】弘法大師空海が修行を続ける~高野山「奥の院の御廟(ごびょう)」~
高野山
住所:和歌山県伊都郡高野町132
電話:0736-56-2011
アクセス:南海高野線「極楽橋駅」下車、南海高野山ケーブルで「高野山駅」へ
神聖な空気に包まれた世界遺産「沖ノ島」<福岡県・宗像市>
沖ノ島は、日本列島と朝鮮半島との間に位置する、福岡県宗像市に属する無人島です。東アジアにおける海を越えた交流が頻繁に行われた4世紀後半〜9世紀末の約500年間にわたり、古代から高度な航海技術をもった宗像地域の人々にとっての道標でした。航海の安全と交流の成就を祈り、貴重な奉献品を用いた祭祀が行われていたのです。
そのため、島全体が信仰の対象となり、人々の間に厳しく入島を制限する禁忌などの慣習が根付いていきました。沖ノ島で見たり聞いたりしたものは、他言無用とされています。また、沖ノ島からは一切何も持ち出してはいけません。
>>沖ノ島の歴史について詳しくはこちらから・・・
【日本の美しい禁足地vol.5】神聖な空気に包まれた世界遺産~福岡県宗像市「沖ノ島」~
>>【日本】女人禁制、男性は禊を・・・!女神が支配する離島「沖ノ島」の謎
沖ノ島
住所:福岡県宗像市大島
電話:092-643-3162
HP:https://www.okinoshima-heritage.jp/
太古から続く自然の息吹を感じる「入らずの森」<石川県・氣多大社>
石川県羽咋市寺家町に鎮座する「氣多大社」。境内は約3万3,000平方メートルの原始林の中にあり、この原生林は「入らずの森(いらずのもり)」として、古代から人の入れない神聖な禁足地とされています。
祭神の大己貴命は、300余の神を率いて出雲から舟で能登に入り、化鳥・大蛇を退治して海路を開拓。のちに守護神としてこの地に鎮まったとされています。そのため、奥宮が鎮座する社叢(鎮守の森)は、「入らずの森」と呼ばれる聖域に。そんな神秘のベールに包まれた森が、2019年12月、祭事「気の葉祭」の一環として、1カ月間限定で一般参詣者に公開され、大きな話題を呼びました。
>>「入らずの森」は国の天然記念物に指定されていて・・・
【日本の美しい禁足地vol.6】太古から続く自然の息吹を感じる~石川県・氣多大社「入らずの森」〜
氣多大社
住所:石川県羽咋市寺家町ク1-1
電話:0767220602
アクセス:JR七尾線「羽咋駅」からタクシーで約10分
誰も入れない神が宿る聖域「フボー御嶽」<沖縄県・久高島>
琉球開闢(かいびゃく)の祖「アマミキヨ神」が最初に創ったとされる久高島は、沖縄本島東海上に浮かぶ周囲8kmの小さな島です。この島の土地は神様からお借りしているものだと考えられていて、島の北部、集落のほかは、聖域とされています。
島内には、琉球7大御嶽の「フボー御嶽」や「カベール岬」などの、御嶽や拝所などの祭祀場が点在しています。中でもフボー御嶽は琉球王府が国家として重視していた御嶽とされ、国指定文化財の名勝にも指定されていますが、残念ながら現在は、男女ともに何人たりとも立ち入り禁止です。
>>「フボー御嶽」が何人たりとも立ち入り禁止になった理由とは・・・
【日本の美しい禁足地vol.7】誰も入ることができない神が宿る聖域~沖縄県・久高島の「フボー御嶽」〜
>>呼ばれた人だけが訪れることができる神の島、沖縄「久高島」
久高島
住所:沖縄県南城市知念久高
アクセス:安座真港から徳仁港までフェリーで約25分(高速船の場合は約15分)
神が降臨する聖なる山「三輪山」<奈良県・桜井市>
古の昔から神様が鎮まる神聖な山として、入山が厳しく制限されてきた三輪山。高さ467m、周囲16kmで、松や杉、檜などの大樹に覆われています。特に山中の杉は、『万葉集』などの歌集に詠まれていて、「三輪の神杉」として神聖なものとされ、のちに三輪山の杉葉で造られた杉玉は、酒造りのシンボルとして酒屋の軒先に飾られるようになりました。
三輪山には、神官や僧侶以外は足を踏み入れることができませんでしたが、明治時代以降は、これまでの伝統にもとづいた「入山者の心得」が制定され、ルールを遵守すれば誰でも入山ができます。
※2022年7月現在、三輪山登拝の受付は当分の間、中止。
>>「三輪山」に入山するために必要なことをチェック・・・!
【日本の美しい禁足地vol.8】神が降臨する聖なる山~奈良県・桜井市の「三輪山」〜
三輪山
住所:奈良県桜井市三輪
電話:0744-42-6633
アクセス:JR「三輪駅」から徒歩5分
HP:https://oomiwa.or.jp/jinja/miwayama/
入ると恐ろしい祟りがある!?「御塚」<東京都・新田神社>
image by Hykw-a4#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Nittajinja.jpg) from Wikipedia
東京都大田区矢口にある「新田神社」は、運を開き、幸せに導くとされる霊験あらたかな神社です。幼少期より優れた武将だった新田義興(よしおき)を祀っていますが、この神社の拝殿の後ろには、入ると祟りがあるといわれている円墳があります。
新田義興は南北朝時代の武将で、新田義貞の次男です。北畠顕家が足利尊氏らを討つために上洛した際、その軍勢に加わり、功をあげるほど、強い武将でした。しかし、1358年、畠山国清に誘い出され、多摩川の矢口ノ渡 (やぐちのわたし) で謀殺されてしまいます。その義興の怨霊を鎮めるために建立されたのが新田神社なのです。
>>新田神社を参拝して運を味方に・・・!
【日本の美しい禁足地vol.9】入ると恐ろしい祟りがある!?~東京都大田区・新田神社の「御塚」〜
新田神社
住所:東京都大田区矢口1-21−23
電話:03-3758-1397
アクセス:東急電鉄東急多摩川線「武蔵新田駅」から徒歩約3分
HP:https://nittajinja.org/jinja/jinja.html
初代天皇が眠るとされる「神武天皇陵」<奈良県・橿原市>
畝傍山(うねびやま)の北東のふもとに位置し、橿原神宮に北接する神武天皇陵は、初代天皇のお墓とされる場所です。周囲約100m、高さ5.5mの広い植え込みがある円丘で、幅約16mの周濠をめぐらせています。
神武天皇は、天皇に即位してから76年目、127歳で崩御したといわれています(古事記では137歳)。そして、翌年に奈良県橿原市大久保町にある畝傍山東北陵(神武陵)に葬られました。『延喜式(えんぎしき)』によると畝傍山東北陵は平安時代のはじめには確認されていました。そのため、神武天皇のゆかりの地として、977年に国源寺が建立されます。
>>ロマンを感じる初代天皇のお墓について詳しくは・・・
【日本の美しい禁足地vol.10】初代天皇が眠るとされる~奈良県橿原市の「神武天皇陵」〜
神武天皇陵
住所: 奈良県橿原市大久保町
電話:0744-22-3338(宮内庁書陵部畝傍陵墓監区事務所)
拝観時間:8:30~17:00
アクセス:近鉄「畝傍御陵前駅」から徒歩約9分
HP:https://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_kankou/kankou/spot/jinmu.html
多くの戦死者が出た激戦地として知られる「硫黄島」<東京都・小笠原諸島>
硫黄島は、北硫黄島、南硫黄島からなる無人の火山列島で、2011年には世界自然遺産に登録されています。太平洋戦争末期には、日米の激戦地となり、多くの戦死者が出ました。1941年に太平洋戦争が激化し、平和だった硫黄島は、本土防衛の最前線となり、1944年には、島民が強制疎開され、玉砕の島となったのです。
硫黄島で勤務する自衛隊員は、小銃を持ち歩くことが禁止されているそうです。なぜなら、今でも硫黄島には、戦死者の大量の人骨が埋まったままとなっており、自衛隊員が心霊現象に遭遇することも少なくないから……。その際、パニックに陥った隊員が小銃を誤射する事故が何度も起こっているのだとか。
>>硫黄島の基地で勤務する自衛隊員の決まり事とは・・・?
【日本の美しい禁足地vol.11】多くの戦死者が出た激戦地として知られる~小笠原諸島の「硫黄島」〜
硫黄島
住所:東京都小笠原村硫黄島
HP:https://www.vill.ogasawara.tokyo.jp/ioutou_index/
命がけで入浴しなけれないけない!?「有毒温泉」<北海道・上川郡>
image by Miya.m from Wikipedia
有毒温泉は、北海道上川郡「大雪山国立公園」の御鉢平カルデラの底部に位置します。周辺には宿泊施設はおろか、道路もありません。御鉢平カルデラには、数カ所の湯だまり(有毒温泉)が確認されています。しかし、強力な毒性を持つ硫化水素のガスが噴出しているため、立ち入り禁止となっており、その湯だまりに近づくことはできません。
1958年には、学生2人が硫化水素のガスにより中毒死しました。さらに迷い込んだ登山客が中毒死する事故も複数起こっています。また、人間だけでなく、ヒグマやキタキツネといった北の大地を代表する野生動物の死体もたびたび発見されているのです。
>>お鉢平めぐりコースから有毒温泉を眺めたいのなら・・・
【日本の美しい禁足地vol.12】命がけで入浴しなけれないけない!?~北海道上川郡の「有毒温泉」〜
有毒温泉
住所:北海道上川郡上川町層雲峡 大雪山国立公園 御鉢平
日本の禁足地は減り続けている
不思議な出来事が起こっていたり、悲しい歴史があったり……ひとつひとつの禁足地を深堀りしていくと、毎回、新たな発見があります。日本の禁足地は減り続けているそうですが、可能な限り、先人たちがのこした伝統や歴史、神聖な場所を守り続けていきたいですね。
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