岡山県三大踊りの一つ「備中たかはし松山踊り」(同踊り保存会主催、山陽新聞社後援)が14日夜、高梁市中心部を会場に3日間の日程で始まった。新型コロナウイルス禍の影響で3年ぶりの開催。370年以上の歴史を持つ伝統の舞が復活し、お盆の城下町を華やかに染めた。
ちょうちんがともるJR備中高梁駅前大通りに、編みがさ、浴衣姿の老若男女が集い、午後7時に幕開けした。会場に設けたやぐらの上で音頭保存会のメンバーが太鼓や三味線を響かせ、ムードを演出。踊り手たちは、ゆったりとした所作の「地踊り」を優雅に、テンポが速い「ヤトサ」を躍動感たっぷりに舞った。
マスク着用、掛け声禁止といった感染対策が講じられる中、沿道の観衆も参加。家族4人で輪に加わった高梁市出身の女性(47)=総社市=は「高梁に夏が来たと実感する。子どもたちも開催を心待ちにしていたので踊れてうれしい」と話した。
15、16日も午後7時から同9時半まで行われる。15日は、扇子や刀を手に舞う「仕組(しぐみ)踊り」もある。
松山踊りは地踊り、ヤトサ、仕組の3種類で構成され、県重要無形民俗文化財に指定されている。最も古い地踊りは1648年、備中松山藩主水谷(みずのや)勝隆が五穀豊穣(ほうじょう)などを願い民衆に踊らせたのが起源とされる。