「核兵器の悲惨さ 広く伝える」 故タウンゼントさんの長女 「ナガサキの郵便配達」テーマに対談、朗読会

「核兵器の悲惨さを広く伝えるお手伝いができれば」と語るイザベルさん(中央)=長崎市平野町、長崎原爆資料館ホール

 元英空軍大佐でジャーナリストの故ピーター・タウンゼントさんが長崎の被爆者、故谷口稜曄(すみてる)さんをモデルに描いたノンフィクション「ナガサキの郵便配達」をテーマにした対談と朗読会が13日、長崎市内であった。フランス在住の俳優でタウンゼントさんの長女イザベルさん(61)が登壇し、「より多くの人に核兵器の悲惨さを知ってもらうことが重要。広く伝えるお手伝いができれば」と語った。
 長崎原爆で焼けただれた自身の「赤い背中」の写真を掲げて核兵器廃絶を訴えた谷口さん。同書はタウンゼントさんが長崎での取材を基に、谷口さんらの姿を通して原爆の惨状を丹念に描き、1984年に英語、フランス語で出版された。

「ナガサキの郵便配達」の一部分を朗読する松田さん(左)

 タウンゼントさんが82年に長崎で取材した際に通訳として同行した元市職員の田崎昇さん(78)が、イザベルさんと対談。「タウンゼントさんはじっくりと話を聞く人だった。谷口さんの心の動きまで全て本に書いてある。2人の中で共通する何かがあったのでは」と当時を振り返った。
 原爆や戦争の悲惨さを伝えるため、若者が体を使って表現する演劇活動に取り組むイザベルさん。「小さなプロジェクトの積み重ねで平和の鎖をつなげていければ」と熱心に話した。
 朗読会は、同書を題材にした組曲を交え進行。ジブリアニメで声優を務めた松田洋治さんが読み手を務め、組曲を作ったクラシックギター奏者の佐藤洋平さんが情感豊かに演奏した。
 長崎平和推進協会主催。同書を広める活動をする東京の一般社団法人「ナガサキの郵便配達制作プロジェクト」協力。約110人が聴講した。


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