子孫繁栄や豊作願い「大宮踊」 蒜山、3年ぶりの開催に熱

子孫繁栄や豊作を願って踊りの輪を広げる浴衣姿の住民ら=15日午後9時3分

 真庭市蒜山地域に伝わる国重要無形民俗文化財の盆踊り「大宮踊」が15日夜、「大宮様」とも呼ばれる福田神社(同市蒜山中福田)で行われた。新型コロナウイルス禍で3年ぶりの開催とあって、住民らが子孫繁栄や豊作の願いを込めて熱の入った踊りを披露した。

 午後8時半ごろ、「シリゲ」と呼ばれる切り絵細工をつるした大灯籠の周囲に人々が参集。繁栄を願うとされる「ウワハンヨウ」という独特の言い回しの音頭と、締め太鼓の「バン」という音に合わせ、優美な「あおい」、歯切れ良さが増す「しっし」などの所作を繰り返した。

 終盤になると、編みがさや手拭いをかぶった集団が登場。きねで天地を突くようなしぐさや、ドジョウすくいなど「てんこ」と称する変装踊りを見せ、会場を沸かせた。

 瀬戸内市邑久町山手の会社員(33)は「初めて参加したが雰囲気が良く輪に加わりやすい。最後まで楽しめた」と満足そうに話した。

 大宮踊は、備中たかはし松山踊り(高梁市)、白石踊(笠岡市)と並ぶ岡山県三大踊りの一つ。江戸時代には既に始まっていたとされ、現在も寺社など15カ所前後で続いている。

© 株式会社山陽新聞社