3年生、夏物語2022 vol.4 水球女子 「全力疾泳」した3年間となった佐々木琴美(大分商業3年)

水中の格闘技といわれる水球に3年間の青春を費やした。大分商業の佐々木琴美の高校最後の夏は、「第45回全国JOCジュニアオリンピックカップ夏季水泳大会(JOCカップ)」で終えることになる。「初戦の相手は全国1位のチームだが、負けることなんて考えていない。1点でも多く取り、後悔なく終えたい」と意気込む。

海上自衛隊の潜水士になることを夢見る少女は、オープンスクールで水球を見たときに「将来に生かせるかも」と直感が働いたという。中学までバスケットボールで活躍し、県選抜チームにも選ばれたが、「新しいことに挑戦したかった」と入学直後に水球部に入った。気持ちの高ぶりと反して、泳げない現実が待ち受けていたが、自他ともに認める負けず嫌いが上達への意欲を駆り立てた。

練習中も笑顔が絶えない

運動神経の良い佐々木が泳げるようになるまでに時間は要さなかった。しかし、泳ぐのは陸上を歩くこと、走ることと同じ水球の世界では、スタート地点に立っただけ。顔を上げたまま泳ぎ、ボールを運び、パスをつなぎ、シュートを打つ。水中での激しいコンタクトプレーもある。「自分には足りないものばかり。やるしかない」と奮起。女子の練習後に男子の練習にも加わり、チームメートと比べて、倍以上の練習をこなした。

佐々木は「努力の3年間だった」と振り返る。練習で思い描いたプレーができるようになることが楽しかった。猛練習の後に急成長する佐々木は、周囲との温度差を感じることもあったが、「チームスポーツなのでチームワークが必要」とコミュニケーションを図り、持ち前の明るさとヤル気を伝染させ、全国大会への切符を手にした。JOCカップの九州地区予選では優秀選手に選ばれた佐々木には、強豪大学からスカウトの声が掛かったが、「水球は高校までと決めていた。迷ったけど、自分の夢である潜水士になりたい」と気持ちは揺るがなかった。

22日から始まるJOCカップが、最初で最後の全国舞台となる。大暴れするつもりだ。

 完全燃焼を誓う佐々木琴美

(柚野真也)

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