「第1世代として世代交代の環境をつくる」「他党がやらない身を切る改革を実行」 日本維新の会代表選・候補者インタビュー 馬場伸幸氏

選挙ドットコムは8月27日に行われる日本維新の会代表選に立候補した3名にインタビューしました。本記事では馬場伸幸氏へのインタビューを掲載します。

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第1世代といわれる人間が、円滑な世代交代の環境づくりをしていきたい

Q: 今回の代表選に立候補した理由を教えてください。

橋下徹氏、松井一郎氏という党を立ち上げた創始者が2人とも引退されることになります。我々の精神的支柱であったことは間違いなく、強烈なカリスマ性とリーダーシップを持って党をけん引されてきたわけですが、そういう人は私を含めて次の時代にはなかなかいないと思います。

昨年、衆院選が終わったあと、松井代表は「世代交代を目指していく」ということで、党三役を30代・40代の3人へと一気に若返らせました。ただ世代交代というのは、ロールケーキを切るように(一気に世代を切り離すようなこと)はできないので、うまくスライドさせていく必要があります。国会議員も増え、地方議員も毎年増えている状況ですから、若くて優秀なメンバーはどんどん増えてきています。世代交代を円滑にやっていくためには、第1世代といわれる人間が代表をやって、次の環境を整えていくことが非常に大事だと思いました。

もちろん今日明日の課題を解決していくことも一つの仕事ですが、5年後10年後を目指した体制の整備・移行をやっていきたいと思います。

Q: 今回の代表選にはどのような戦略で臨んでいますか。掲げている公約はありますか。

日本維新の会の代表選は他党と比べても珍しく、2年以上在籍している一般党員は我々議員と同じ1票を持っています。国会議員や地方議員などの特別党員が600名、有権者の一般党員が2万名いまして、最終的には一般党員の票が結果に反映されると思います。

立候補する際に特別党員306名に推薦人になってもらいましたが、特別党員それぞれに一般党員がつながっているという状況なので、一般党員にきっちり働きかけてもらうことが今回の代表選の最大のポイントだと思います。告示後から早速いろいろな集会をやってもらっていますが、一般党員にしつこいくらいにお願いすることが戦略です。

公約については、今回の代表選のスローガンにもなっていますが、「継承。そして新たな飛躍へ。」まさしくその通りだと思います。橋下さんや松井さんがやってきたことが間違っていなかったからいまの状況があります。

一時は風前のともしびで、相撲でいえば徳俵に足がかかっていてもう少しで押し出されるような状態でしたが、なんとか耐えたことで衆議院41人、参議院21人の合計62人に。今までみんながやってきたことが間違っていなかったという証明だと思いますので、ことさら大きな転換をすることは考えておらず、今までやってきたことを着実にやりながら、改革すべきところは改革するという路線でやっていきたいと考えております。

自分は「8番キャッチャー」であり、簡単には倒れない「カメ」

Q: 他の候補者と比べて、自身の特徴や強みは何でしょうか。

私はことあるごとに、野球でいえば「8番キャッチャー」と自分自身の性格を表す言葉として言っています。キャッチャーは野球で一人だけ違う方向を向いていて、残りの8人を視野に入れながらプレーしています。バッターになれば8番なので、時々ヒットも打つ、たまにホームランも打つけれども、基本的に派手派手しいことはできないです。ウサギとカメでいえばカメみたいなもので、一歩ずつ一歩ずつ歩んでいくというのが政治家になる前からの生き方でした。

裏返して言えば、そういう生き方なので、そう簡単にひっくり返りません。足を引っ掛けられても倒れません。選挙というのはプラスのこともありますが、マイナス要因も必ずあります。きっちり地に足つけて活動してきた自負があるので、マイナス要因があっても選挙では負けないという粘り強さが強みですね。

Q: 他の候補者にはどのような特徴がありますか。ご自身から見た印象を教えてください。

足立康史議員は、日本の公務員は非常に優秀だということがわかる「脱藩官僚」ですね。頭の良さは党内でもずば抜けています。仕事の速さや、情報収集力とそれを分析して一つのかたちをつくるところがすごいと思います。政調のほうでもサポートしてくれてきましたが、いま日本維新の会が打ち出している政策は、大なり小なり足立議員が関わって作ってくれています。

梅村みずほ議員は3年前に参議院議員になりましたが、出馬が決まったのが選挙の1カ月くらい前で、ある方に紹介されて面接させてもらった際に、非常に厳しい選挙になることを伝えたところ「やります!」と。そういう踏ん切りの良さがあり、今回の代表選への立候補につながっていると思いますが、ビシッとした姿勢が特徴としてありますね。いまはそういう政治家は少ないですが、それが良さだと思います。

他の党が絶対にやらない「身を切る改革」を日本維新の会はやる

Q: 他党と比べ、日本維新の会はどのような党だとアピールしますか。また「こうあるべき」という点があれば教えてください。

他の党が絶対にやらないのは「身を切る改革」です。2012年に当時の民主党・野田佳彦首相と、野党だった自民党・安倍晋三総裁が党首討論を行い、「国会議員の大幅な定数削減をやろうじゃないですか」と。国民のほとんどが見たと思います。「やりましょう」と勢いは良かったけれど、解散して選挙やって自民党が勝ったあと「あれ、なんだったの」「そんなこと言いましたっけ」みたいな感じになりましたよ。衆議院と参議院合わせて700人超いますが、日々国会で活動していて思うのは、国政を動かすことにコミットしている国会議員は30人くらいです。あとは学者みたいな人とか、ただの出席要員とか、そんなのばかりだったらいらないだろうと思います。

これから日本は厳しい人口減少や少子高齢化により、国民負担は増えていくと思います。国民側から見ると、少々負担が増えても「ちゃんと安心できる社会を作ってくれたらいいよ」と、多くの国民がそう思ってくれていると思いますが、全然そのようになりません。2012年に民主・自民・公明で三党合意をした「社会保障と税の一体改革」も、年金は100年安心なんていくら言っても、国民は不安で仕方ないと思います。

他党は約束したことはできていないし、全然身を切ることをしません。日本維新の会は国民目線とか納税者目線という言葉を多用しますが、国民から見たら「議員はいい思いをしすぎているのでは」と感じていると思います。そこにまず手を入れないと、政治に対する信頼というものはなかなか上がってきません。選挙のたびに投票率が下がってきており、国会議員がインタビューで「もっと有権者に関心を持ってもらわないと」と言っていますが、あなたたち議員がちゃんとしないから国民が政治に対してあきらめ感を抱いているのではないのかと言いたいですよ。

身を切る改革については批判をする人も中にはいます。私は仁徳天皇陵のある堺の人間で、仁徳天皇には有名な逸話があります。仁徳天皇が住まいから民の家を見て「かまどから煙が立っていないのはなぜだ」と家臣に聞きました。そして、税が重いから食べ物に困っていることを知り、しばらく徴税をやめました。その後、民のかまどから煙が立ったのを見て、再び税をいただこうということになったという内容です。そのような政治をやらなければいけないのであって、日本維新の会はそういうことを常に頭の中に入れながら政治に取り組んでいます。

競る選挙では地力が必要。地力をつけるために統一地方選で地方議員を増やしたい

Q: 7月の参院選をどう振り返りますか。日本維新の会が乗り越えるべき課題があれば教えてください。

いくつか目標に掲げていたことがありまして、1つ目は改選議席6議席を倍増させること、これは12議席になったので達成しました。2つ目は、比例の票で野党第一党を目指すこと、これも立憲民主党に110万票の差をつけて達成しました。ただ、重点選挙区に位置付けた東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡について、半分くらいは敗れるという結果になりました。

競る選挙では地力がないと勝てません。何らかの要因で圧倒的に勝てるときは、はっきり言って何もしなくても勝ててしまいます。東京や京都は地力がなかったということです。地力というのは、本人の力というのもありますが、やはり地方議員が重要になります。地方議員がたくさんいて、常日頃から地域のためにいろいろな活動をしていて、国政選挙のときにお願いに行って「候補者のことはわからないけど、普段からお世話になっているあなた(地方議員)が言うなら応援しますよ。まわりの人にも言っておきますよ」と。この積み重ねがあるかどうかで、最後に勝つかどうかの瀬戸際になります。

いま中期経営計画を作っているのですが、今回の参院選で21議席になったというのは、100点満点ではなかったですが60点くらいはいただけると思っているので、ギリギリ合格点ですかね。次の目標は統一地方選挙で、いま日本維新の会の地方議員は400人いますが、大阪で250人となっています。大阪以外では150人ですが、大阪は飽和状態になってきているので、大阪以外を倍増させれば地方議員600人700人が視野に入ってきます。今年のはじめから具体的に各都道府県支部に話をしていて、どこでどれだけの票が去年の衆院選や今年の参院選で出たのかを分析して、候補者を立てていくということを指示しています。統一地方選挙が、その後に行われるであろう衆院選の結果を大きく左右すると思っています。ただ、今のままでは衆議院も参議院も議席はそれほど増えないと考えています。すでに限界のところまで議席をいただいている状況なので、若干の増減はあるかもしれませんが、大幅に増えるようなことは、今のままではありえないでしょう。

選挙ドットコムでは日本維新の会代表選候補者討論会を生配信します

今回インタビューした日本維新の会代表選の候補者3名の討論会を選挙ドットコムちゃんねるで19日21時より生配信します。こちらも併せてぜひご覧ください。

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