大雨災害から2週間 浸水免れた2階で生活、キャンプ場で仮住まい…日常戻らぬ福井県南越前町の今

積み上がったままの漂着物や家屋の部材=8月19日、福井県南越前町赤萩

  福井県南越前町を襲った8月5日の大雨災害から19日で2週間となった。延べ約3400人のボランティアが復旧に関わり、浸水家屋の泥出し、流木など漂着物の撤去などが進む。一方で、被災住民の中には浸水を免れた2階部分で生活する人、公共施設を仮住まいとする人もおり、日常生活を取り戻せていない。

 鹿蒜(かひる)地区を流れる鹿蒜川の氾濫で浸水被害を受けた大桐区。60歳の男性は2階で寝泊まりしている。1階は背丈以上の高さまで水に漬かり、家財道具は全て流された。トイレは使えず、集落内の仮設トイレを使用している。風呂は町内の入浴施設、食料は支援物資でしのぐ。室内に堆積した泥出しは「ボランティアが一斉に手伝ってくれた。仕事の合間を縫って来た人もいた。頭が上がりません」と感謝する。

 鹿蒜川の川底には大量の土砂が堆積し、重機による除去作業が続く。下流の今庄区では路上の災害ごみはあまり見られなくなったが、側溝の泥上げや住宅の床ふきが続く。同区の67歳の男性は「土ぼこりが激しく、外に洗濯物を干すことができない」と話した。

 南越前町社協によると、19日はボランティア計152人が鹿蒜地区に入った。今後も5日から1週間程度はボランティアの支援が必要な状況が続くとみている。

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 河野川があふれ、12軒が床上浸水、6軒が床下浸水した河野地区赤萩区。小角譲区長(63)によると、床下の泥出し作業はほぼ完了し「大きな力仕事は終わった」。しかし、親戚・知人宅に身を寄せる人、最寄りのキャンプ場「めだかの学校」の施設を借りて生活する人がいるという。

 赤萩区ではお盆の納涼祭や仏教行事「お精霊さん」が中止に。自宅2階で生活する86歳の男性は「お墓参りも行けなかった」。大桐区の聞光寺では8月15日に住民が集まり法要を営むが、災害復旧を優先する人が多かった。大梧光順住職(68)は「仏壇が水没した家も多い。大桐を離れる人が増える可能性があり、集落が維持できるのか心配」と話した。

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