児玉久右衛門偉業 紙芝居を絵本化 西都・穂北中生

穂北中生(右)が制作した児玉久右衛門の紙芝居を絵本として出版した「穂北児玉久右衛門の絵本をつくる会」のメンバーたち(左)

 西都市域で江戸時代に一ツ瀬川流域を潤す大かんがい事業を成し遂げた児玉久右衛門(きゅうえもん)を紹介する紙芝居を同市の穂北中生が制作した。共鳴した地元住民有志らが絵本にして自費出版し、今夏から地域で配布している。有志らは「水路に水が初めて流れた年から今年で300年。偉業を埋もれさせず広く伝えるきっかけにしたい」と願う。
 久右衛門は水利が悪くコメの不作が続いていた農家を救おうと、私財を投じて一ツ瀬川から水を引く同市南方の杉安井堰(いぜき)と水路の整備を企画した。1720(享保5)年に着手、2年後に水を流し始め、約30年かけて完成。超早場米の名産地である同市の水田を現在に至るまで潤し続けている。
 紙芝居は同校の文化系サークル「フリースタッフ」が地元の偉人について子どもたちに分かりやすく伝えようと今年1月に制作。地元の主任児童委員、小島貴代子さん(70)が紙芝居の出来の良さに感銘を受け、有志3人で「穂北児玉久右衛門の絵本をつくる会」(横山邦夫会長)を結成して紙芝居を基にした絵本120冊を出版した。
 7月には同市穂北支所で地元住民を対象にフリースタッフの紙芝居読み聞かせと絵本のお披露目があり、代表の谷口紗雪さん(14)は「西都の偉人を小さな子どもたちにもっと知ってもらえればうれしい」と笑顔だった。絵本は市内全小中高校や病院などに配布する計画で、小島さんは「気軽に読んでもらい、現在も遺産として使われ続ける偉業のすごさに思いをはせてほしい」と話している。

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