「日光の社寺」で携帯電波悪化 ドコモ改善に着手

輪王寺境内の一部では電波が微弱な状況が続いており、スマートフォンのアンテナマークは最低レベルが示される

 栃木県日光市の世界遺産「日光の社寺」エリアの一部で今春から、NTTドコモの携帯通信機器向け電波の受信状況が悪化している。無線基地局の移転が原因だが、社寺の業務や日常の通話に支障が出ているため、社寺関係者は「観光地の利便性や有事の際の連絡に問題が生じかねない」と市を通じて同社側に改善を求めた。同社側は世界的な観光地であることを重視し、改善対策に着手した。

 社寺関係者によると、3月ごろから、表参道周辺や日光山輪王寺の支院が並ぶ中山通り、日光二荒山神社などで電波の受信状況が悪化した。社寺エリア全体ではないが、電波が微弱な場所が点在している。

 通話が途切れるなどの状況が続いており、5月の大型連休では、輪王寺の電子拝観券がスマートフォンで表示できなくなるトラブルが複数あった。

 同社グループのドコモCS栃木支店によると、社寺周辺にあった基地局を、建物の取り壊しに伴って3月上旬に別な場所へ移転したことが要因。電波の受信エリアが変わらないよう移転先を選定したが、社寺にある巨木が電波を妨げるようになったとみている。

 社寺関係者は、観光地としてのイメージダウンや緊急時の連絡などへの影響を懸念し、5月から市を通じて改善を求め続けていた。輪王寺の担当者は「災害や急病人の発生などの際、連絡ができないことがあっては特に困る」と訴える。

 これを受け同支店は7月から、移転した基地局の電波送受信の設定を変更し、受信状態が悪い事務所などには個別で対応している。その結果、屋内など一部では改善が見られている。

 同支店は、元の基地局があった場所の付近に新たな基地局を設ける抜本的な改善も視野に入れ、各種調査などを進めている。「基地局の移転により一部利用しづらいエリアを発生させ、お客さまにご迷惑をおかけした。改善のため、対策を迅速に進めていく」としている。

 

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