大原美術館(倉敷市中央)は、大原家旧別邸「有隣荘」(同所)を夜間特別公開している。夜の一般公開はこれまでほとんど例がなく、観光客や地元住民らは、近代日本の傑出した建築家や造園家が当時の技術を結集した邸宅で、ワインや美観地区の夜景を堪能している。28日まで。
有隣荘は1928年、同美術館創設者の大原孫三郎が妻のために建設。黄緑色の屋根瓦から「緑御殿」とも呼ばれ、総社市出身の建築家薬師寺主計(かずえ)が設計。和室には最高級品の台湾ヒノキや屋久杉が使われ、洋画家児島虎次郎も室内空間をプロデュースした。
特別公開では、孫三郎の長男總一郎が愛用したSPレコードのクラシック曲を洋間に流し、ワインやジュースを提供。薬師寺が設計した大原美術館や、造園家小川治兵衛が手掛けた日本庭園が望め、観光客らは風情ある景色に見入っている。
家族3人で訪れた自営業女性(54)=早島町=は「2階からの眺めは最高。迎賓館としての役割も担い、大原家が愛用した歴史的な建造物で特別な時間を過ごせて満足」と話した。
午後6時半~8時。各日とも定員50人。1人2千円(ドリンク付き)。問い合わせは同美術館(086―422―0005)。
特別公開は、同市美観地区で開かれている「第40回ハートランド倉敷」の協賛イベント。