県内観光客 過去最少1099万人 コロナ影響、主要スポット大幅減

 2021年に岡山県内を訪れた観光客は1099万人と、現行の集計方式となった11年以降で最少だったことが県の観光客動態調査で分かった。2度にわたる新型コロナウイルス緊急事態宣言の影響で後楽園や蒜山高原といった主要スポットが大幅に落ち込み、同じくコロナ禍にあった20年との比較でも17.5%減となった。

 21年は新型コロナの流行「第4波」「第5波」により、県内では5~9月に緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が2度ずつ発令された。これに伴い県境を越えた移動の自粛要請が繰り返され、一時休業に踏み切る観光施設が相次いだ。

 調査によると、有数の集客を誇る後楽園・岡山城周辺(岡山市)が66万2千人と前年比27.0%の大幅減。後楽園の休園に加え、岡山城が6月から「令和の大改修」で長期休館に入ったことが響いた。倉敷美観地区(倉敷市)が5.1%減の146万5千人、蒜山高原(真庭市)が12.5%減の144万3千人と主要施設の減少が目立った。玉野・渋川は道の駅の物販施設がリニューアルされたことで10.8%増の235万5千人となった。

 観光客の内訳は、県内客が583万6千人、県外客が515万4千人と、それぞれ17.6%と17.3%減った。修学旅行や団体旅行による遠方からの来県に回復の兆しが見られたものの、近隣県からは軒並み減少した。

 滞在状況の分析では、日帰り客(818万2千人)が20.6%の大幅減となった一方、宿泊客(280万8千人)は6.6%の減にとどまった。県内旅行の割引キャンペーン「おかやま旅応援割」で宿泊利用が好調だったことを反映しているとみられる。

 県観光課は「22年は感染者数の増加という不安材料はあるが、岡山デスティネーションキャンペーンや瀬戸内国際芸術祭といった大型企画・イベントもあり、回復が期待できる」としている。

 調査は主要観光地・施設やイベントの来客数から推計した。

新型コロナの影響で閑散とする岡山市の後楽園=2021年2月

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