「躍進」の夏 団体競技が健闘 長崎県勢 金メダル4、初優勝2 四国総体 総評

(写真左から)バドミントン男子団体で県勢初Vを果たした瓊浦。個人ダブルス銀メダルの櫻井(手前)・南本組がチームをけん引した=徳島県吉野川市、日本フネン市民プラザ/剣道男子団体で県勢初優勝を飾った島原。決勝で主将の大将長崎が果敢に攻める=高知市、高知県立春野総合運動公園体育館

 全国高校総合体育大会(インターハイ=躍動の青い力 四国総体2022)最終日は23日、水球の決勝などが行われ、これで1カ月間にわたる計30競技の全日程を終了した。長崎県勢は4競技の優勝をはじめ、11個のメダルを獲得。24種目で表彰状を手にした。個人種目でメダルラッシュだった昨年の北信越総体(優勝5、メダル16、入賞30)には及ばなかったものの、初優勝したバドミントン男子の瓊浦と剣道男子の島原を筆頭に団体競技が健闘。数字以上に「躍進」を印象づける夏となった。

  過去最高続々

 全競技の先陣を切って7月24日から登場したバドミントン勢が絶好の流れをつくった。男子団体の瓊浦が準決勝でV候補筆頭の埼玉栄を破り、決勝では春の全国選抜大会準決勝で敗れた高岡第一(富山)に雪辱。悲願の日本一を達成し、個人ダブルスでは櫻井・南本組が銀メダルを獲得した。
 剣道男子は過去に銀2回、銅2回、8強3回と悔し涙を流してきた島原が悲願の頂点へ。春の全国選抜大会では長崎南山が3位に入っており、長崎の存在感を示した。
 ソフトボール男子で春夏連覇を成し遂げた大村工は準々決勝を除く4試合で4点差以上の快勝と圧巻の強さを披露。登山の長崎北陽台は女子が18年ぶり2度目の金メダル、男子も3位と実力を発揮した。
 ほかにもホッケー女子の川棚が銅メダルを手にし、ソフトボール女子の長崎商は4校同時優勝した昨年に並ぶ4強入りと過去最高成績を残すチームが相次いだ。バスケットボール男子の長崎工が初の全国1勝を挙げるなど入賞に絡まずとも各競技で健闘が目立った。

  力合わせ結実

 栄冠を勝ち取ったバドミントン男子の瓊浦、登山の長崎北陽台に共通していたのが、卒業生たちの力だった。
 コロナ禍で遠征がままならない中、OBやOGが協力。バドミントン男子の瓊浦は現大学生が足しげく長崎まで来て実戦形式の練習を重ねた。登山の長崎北陽台は本来10カ月前に行うはずのコース下見ができず、代わりに先輩らが5月の連休中に四国入りして攻略メモの作成に当たった。
 ソフトボールと剣道は、県内に強力なライバルが存在することが継続的な好成績につながり、長崎という地域全体で底上げに成功している。
 一方、今大会は個人がやや振るわなかった。入賞者は昨年の21種目から16種目に減少。メダル数は昨年の12個から4個に減った。レスリングや柔道、カヌーなど奮闘した競技もあったが、陸上勢は26年ぶりの入賞ゼロ。昨年の稼ぎ頭だった重量挙げ勢は入賞1人にとどまった。

県勢入賞一覧

  コロナ影響減

 昨年は新型コロナウイルスの影響から、県勢も複数競技で欠場が相次いだ。今年は個人種目でいくつかの欠場があったものの、各チームの高い危機管理意識もあって団体種目はすべて本番の舞台を踏むことができた。
 バスケットボール女子の長崎西は3月、県新人戦準々決勝を突破したタイミングで選手の感染が判明。準決勝の出場辞退を余儀なくされた。悔しい思いをしたが、この経験を経てコロナ対策の意識が強くなった。消毒や黙食はもちろん、共有アプリで体調を管理。テスト勉強などで睡眠時間が少ない選手には朝練習を控えさせ、免疫力の低下を防ぐ工夫を続けてきた。迎えた今大会、選手たちは万全の体調で臨み、チーム10年ぶりとなる夏1勝を挙げた。
 現3年生は入学時からコロナ禍に見舞われ、思う存分に部活をできなかった世代。県高体連の皆良田憲明理事長は「だからこそ、予防の意識が一層高かったのではないか」と選手たちが大舞台で力を尽くし、大きな問題なく大会を終えたことに安堵(あんど)している。


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