現役の為替ディーラーが明かす「負ける投資家」の共通点3つ

投資にはさまざまな手法があり、そのやり方も投資家によって十人十色ですが、負けパターンには共通点があります。

そこで、為替ディーラー・井口 喜雄( @yoshi_igu )氏の著書『1日で数百億を動かす現役ディーラーが教える 勝者のトレード』(KADOKAWA)より、一部を抜粋・編集して負ける投資家の共通点を解説します。


投資で勝つ方法は十人十色、負けるのは……

仕事柄、これまで多くの投資家を見てきました。取引スタイルを投資期間で分類すると、スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、中長期投資などがあり、投資手法には順張り、逆張り、あるいは分析手法にはファンダメンタルズ、テクニカルと多くのアプローチがあります。十人十色の投資家が存在し、やり方もさまざまですが、負けパターンには共通点があります。

負ける投資家の共通点(1) 値ごろ感で売買している

1つ目の共通点は「値ごろ感で取引している」ということです。

値ごろ感というのは、「なんとなく高い」とか、「なんとなく安い」とか、なんの根拠もなしに判断してしまうことです。たとえば、スーパーマーケットへ行って、昨日大根が100円だったとします。それが今日、90円に値下がりしていれば、安く感じます。それで買ってしまいます。

マーケットでは、現在の価格が常に適正価格です。現在の株価が500円の銘柄があれば、それが適正価格です。昨日の株価が600円でも400円でも関係ありません。過去の価格と比較して、「安い」とか「高い」とか判断するのは意味がないのです。

負ける投資家の共通点(2) ポジションに依存してしまう

2つ目はポジション依存です。たとえば、トヨタ自動車の株式を購入すると、トヨタを応援したい気持ちになります。ニュースなどを見ていても、自然とトヨタのいい情報ばかり目にとまるようになります。悪いニュースを目にしても、希望的観測で良いほうに考えようとします。

つまり、トヨタの株式を買ってポジションを持ったことで、そのポジションに依存してしまうことがよくあるのです。

投資で利益を得るには、常に冷静な判断を求められます。上がるのか下がるのか、客観的に判断する目を持っている必要があります。それができなくなってしまうのがポジション依存です。

負ける投資家の共通点(3) ナンピンをしてしまう

ポジションを持って含み損が出てしまうと、手っ取り早く負けを取り返したいと思います。そのためには大きく儲けなければなりません。そのときやってしまいがちなのがナンピンです。

たとえば、A社の株式を500円で100株購入すると、投資金額は5万円です。その後に株価が400円になると、時価は4万円になり1万円の含み損になります。

その損失を軽減するために下がった株価、このケースでは400円で再び投資してしまうのがナンピン買いです。この場合の投資金額は次のようになります。

1回目の投資=500円×100株=5万円
2回目の投資=400円×100株=4万円(ナンピン買い)

1回目の投資だけでは、購入単価は500円です。しかし、2回目の投資をすると、合計投資額が9万円で200株を保有していることになりますので、9万円÷200株で購入単価を450円に下げることができます。

その後に株価が450円まで回復すれば、損失がゼロになりますし、500円まで回復すれば、50円×200株で1万円の含み益になります。

株価が下がり続けているときにナンピンを繰り返していけば、平均購入単価をどんどん下げることができるので、株価が上昇したときに一気に損失を取り戻せます。

しかし、これが大ケガのもとになるのです。ナンピンで大儲けするには、いずれ株価が上がることが前提です。そのまま下がり続ければ、大きな損失を抱えることになります。その結果、ナンピンする投資家は「頼むから上がってくれ」などと神頼みするしかなくなったりします。

プロでも避けられない負け組投資家の行動

以上、負ける投資家の共通点を3つ紹介しましたが、これは個人投資家だけの話ではありません。プロの投資家にも言えることです。私自身も値ごろ感で取引をしてしまうこともありますし、ポジション依存もしてしまいます。「これからドルは上がると思う」など、自分が持っているポジションについていいことをTwitterでつぶやいたりします。こうしたポジショントークはポジション依存している証拠です。リスクにさらされている中で、なんとか自分の気持ちを落ち着かせようと思ってポジショントークをすることもあります。

ナンピンも日常茶飯事です。神様へのお祈りもよくしています。すでに20年、この世界にいますが、それでもやってしまうのですから、避けて通れない面があります。

著者:井口喜雄

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