15年かけ全32曲の演奏に挑戦 ベートーベンのピアノソナタ 佐野の田中さん

パンフレットを手に来場を呼びかける田中さん

 【佐野】久保町のピアニスト田中(たなか)あかねさんは28日の市文化会館での公演を皮切りに、「月光」「ハンマークラヴィーア」など32曲に上るベートーベンのピアノソナタ全曲演奏に挑戦する。約15年をかけて作品番号順に披露する計画だ。「全曲演奏は登山家がエベレストを目指すようなもの」と話す田中さんは、「ベートーベンの最大の魅力である多様性を感じ取ってほしい」と呼びかけている。

 田中さんは東京芸術大大学院修了。約25年前から10年間、ベートーベンが生まれたドイツのボンに住み、「このまちをテーマにした演奏会を開いてみたい」と考えていたという。

 その一環として今年1月26、27日には、都内で32人のピアニストが計12時間に及ぶベートーベンのピアノソナタ全曲をリレー形式で披露する演奏会を開催。「一つ一つ個性が豊かでアイデアが詰まっている。改革を楽しみながら作曲していたのではないか」との思いを強くした。この中には自身が演奏したことのない曲も3分の1ほどあるが、「もし今やらなければ後悔する」と、個人での全曲演奏に挑むことも決意した。

 初回の28日には、ベートーベンが25歳の時に師ハイドンにささげたとされるピアノソナタ第1~3番のほか、今年生誕160年を迎えたドビュッシーの「二つのアラベスク」などを披露する予定。田中さんは「32曲をのんびりと続ける長い道のりとなるが、一緒に楽しんでほしい」としている。

 チケットは前売り2500円、当日3千円、高校生以下千円。

 (問)オフィスアドルフ0283.24.2575。

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